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日本酒津々浦々

日本全国津々浦々のさまざまな日本酒のコラムです。

【3458】勢起 純米大吟醸(せき)【長野県】

2018.7.1 22:05
長野県佐久市 大澤酒造
長野県佐久市 大澤酒造

【Z料理店にて 全5回の②】

 夕方、ふらりと近所のZ料理店へ。ここの店主は、わたくしが飲んだことがないだろう酒を用意してくれるから、月に1回は訪れ、その厚意に報いなければならない。店主としても、わたくしに餌を与え、定期的に訪れるように、との深慮遠謀。それが見え見えなのが楽しい。

 トップバッター「瀧自慢 吟醸」に続いて選んだのは「勢起 純米大吟醸」だった。まったく知らない酒名なので「???」という表情を見せたら、すかさず店主は「明鏡止水の蔵のお酒だよ」。新しいブランドとのことだ。料理との相性が良いということで、店主は「明鏡止水」を絶賛、必ず店に置いている。

 このためわたくしも大澤酒造の酒を飲む機会が多く、今回のお酒を含め、当連載で21種類を取り上げている。さて、今回の酒はどうか。いただいてみる。

 旨みと酸がいい感じで出ている。これは美味しい。若干、バナナ的な香りがあり、余韻は軽い苦みと酸味。旨みと酸のバランスが良く、上品感と落ち着き感がある。

 蔵のホームページはこの酒を以下のように紹介している。

「吟醸酒特有の上立香はほのかに控えめに。大吟醸の身上である『透明感のあるきれいな味わい』に、磨くように削った金紋錦の例えがたい気品が漂います」

 また、瓶の裏ラベルは、この酒を以下のように紹介している。

「長野県木島平村で栽培されていいる酒造好適米『金紋錦』を100%使用した平成27酒造年度の純米大吟醸酒です。低温熟成により冷やお燗それぞれに金紋錦の旨味や枯れた味わいが引き立ちます。
ラベルの文字は勢起の孫で書家の服部小湖(久子)の揮毫によるものです。また、ラベルには木島平村特産の手漉き和紙『内山紙』を使用しております」

 裏ラベルの表示は「アルコール分16度以上17度未満、使用米 金紋錦100%、精米歩合 麹米45% 掛米49%、日本酒度+3、酸度1.6、製造年月 2016.01(瓶詰月)、蔵出荷月 2018.03」。

「金紋錦」は長野県立農業試験場が1956年、母「たかね錦」と父「山田錦」を交配して品種を固定、1964年に命名された酒造好適米だ。

 新しいブランド名「勢起」の由来について、宮城県栗原市の「さぶん酒店」のサイトは「『勢起 せき』という酒名は、現蔵元のご曾祖母さまのお名前に由来します」と説明している。

 ここで、蔵元さんにお願いを申し上げたい。新しいブランド「勢起」を立ち上げたのだが、「勢起」のコンセプトや、ブランド名の由来がラベルにいっさい書かれていないのはいかがなものか。次の醸造年度のラベルに、「勢起」のコンセプトや名の由来を説明するコーナーを設けていただきたい。「明鏡止水」のコンセプトも掲載し、「明鏡止水」とどう違うのか、消費者に明らかにしてほしい。

 ちなみに、各酒屋さんのサイトを総合すると、「勢起」のコンセプトは①熟成に特化している②酒米に「金紋錦」を使用、とのことのようだ。

酒蛙

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