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日本酒津々浦々

日本全国津々浦々のさまざまな日本酒のコラムです。

【3444】正雪 純米吟醸 山田錦 別撰 PREMIUM(しょうせつ)【静岡県】

2018.6.19 16:02
静岡県静岡市 神沢川酒造場
静岡県静岡市 神沢川酒造場

【日本酒研究会月例会 全6回の⑤】

 異業種の酒飲み人が月1回、M居酒屋に集う日本酒研究会。研究会とは名ばかりで、単なる飲み会。ちょっとカッコつけて研究会だ。今回はSとFが仕事のため欠席、5人による月例会となった。

「白駒 純米 いまじょう」「百貴船 純米 万葉木の芽峠」「聖乃御代 純米吟醸 吟吹雪」「山法師 純米 爆雷 辛口 +28 弐拾八 生原酒」と飲み進め、店主が5番目に持ってきたのは「正雪 純米吟醸 山田錦 別撰 PREMIUM」だった。

「正雪」は飲む機会が多い酒で、今回を含め、10種類を当連載で取り上げている。今回のお酒はどうか。いただいてみる。

 酒蛙「吟醸香が穏やかに出ている。やわらかなメロン系の果実香。甘みと辛みが立ち、すっとキレる。甘みは旨みを伴う」
 KO「甘いね」
 T 「美味しい。飲みやすい。邪魔になるものは一切無い」
 酒蛙「甘みと辛みの背後に酸がいる。しかし、酸は前には出てこない。辛みは苦みを伴い、余韻に入っていく。全般的に、いかにも『正雪』的な、きれいで、やわらかで、なめらかな酒質だ。重からず、軽からず」

 瓶の裏ラベルは、この酒を以下のように紹介している。

「山田錦だけを原料米に大吟醸を仕込むようサーマルタンクを使用し低温でじっくりと仕込んだ特別な純米吟醸です。新鮮な風味を逃さぬよう生酒のまま瓶詰めしパストライザークーラーで瓶燗急冷をし、火入れ後は全量冷蔵管理しました」

 また、蔵のホームページはこの酒を以下のように紹介している。

「春・秋と2季に発売を予定しております別撰 純米吟醸 PREMIUMですが春はメタリックグリーンの市松模様のラベルでお届け致します。山田錦×静岡酵母の正雪定番の組み合わせを、サーマルタンクでじっくりと低温で仕込みました。爽やかな香りと優しい味わいは、まさに別撰・特別な純米吟醸です。春は上品で綺麗に仕上がり、当社・新杜氏 﨑村の自信作です」

 瓶のラベルの表示は「アルコール分16度、原材料名 米(国産)米こうじ(国産米)、精米歩合50%」。使用米は、裏ラベルの口上に「山田錦」と書かれている。

 酒名「正雪」の由来について、蔵のホームページは、以下のように説明している。

「大正元年(1912年)、現在蔵のある場所より北の山間で林業と養蚕業を営んでいた望月金蔵・由松(よしまつ)親子が酒好きの熱意から酒造業を創業しました。酒づくりを始めるにあたり、酒に合う水を探し求め、神沢川の傍に蔵を構えます。研鑽の末生まれた酒は、時代に逆らっても正直に生きた地元生まれの兵法家・由井正雪にあやかり『正雪』と命名しました」

 ウィキペディアなどによると、正雪は現在の静岡県静岡市清水区由比に生まれた江戸時代初期の軍学者で、江戸に開いた道場は評判を呼び、3,000人もの門下生を抱えた、という。慶安4年(1651年)、幕府政策への批判と浪人の救済を掲げ、浪人を集めてクーデターを計画したが、仲間の裏切りで未遂に終わった。そして追っ手に囲まれ、自刃した、という。この「慶安の変」は、4代将軍徳川家綱以降の政治が、武断政策から文治主義へ政策を転換することになったきっかけとなり、幕府政策上、重要な事件として位置づけられている、という。

 360年以上前の歴史的人物の名が「酒名」に使われている、ということは、由井正雪は今もなお地元の英雄であることを物語っている、といえそうだ。

酒蛙

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