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日本酒津々浦々

日本全国津々浦々のさまざまな日本酒のコラムです。

【3429】春鶯囀 純米辛口 ぷらす9(しゅんのうてん)【山梨県】

2018.6.7 21:48
山梨県南巨摩郡富士川町 萬屋醸造店
山梨県南巨摩郡富士川町 萬屋醸造店

【S居酒屋にて 全12回の⑨】

 酒友オタマジャクシ&美女のMさん、Sさんと久しぶりの飲み会を開いた。いつもはP居酒屋で開いてきたのだが、P居酒屋が店を閉めたため、何回か行ったことがあるS居酒屋に会場を移した。

「香露 純米吟醸」「櫻正宗 純米 宮水の華」「古伊万里 前 純米吟醸 無濾過生原酒」「八鹿 特別純米 コクの、八鹿。」「神泉 特別純米 山田錦」「梵 純米吟醸 ときしらず 濃醇辛口」(当連載【3115】)、「男山 特別純米 木綿屋」「豊能梅 純米吟醸 G×A おりがらみ生酒 五代目の夢酒」「綿屋 特別純米 百年酵母」と飲み進め、10番目にいただいたのは「春鶯囀 純米辛口 ぷらす9」だった。

「春鶯囀」は、あまり飲む機会がない酒だなあ、と勝手におもっていたが、当連載で5種類取り上げており、今回が6種類目。けっこう飲んでいる銘柄だった。与謝野鉄幹・晶子夫妻と縁のある蔵として著名。「春鶯囀」も晶子の歌が由来である。さて、いただいてみる。

 酒蛙「甘みと辛みがくる」
 オタマジャクシ「辛口で、細かな酸」
 酒蛙「酸は感じないなあ。余韻は苦み。『ぷらす9』とラベルに書かれ、超辛口の部類なんだろうが、酒度+9ほどには辛みを感じない。甘みや旨みが適度に出ているから、そう感じるんだろうなあ」
 美女Mさん「自己主張がすくないお酒だとおもう」
 オタマジャクシ「美味しいお酒だよ。これまで、ボリューム感のある酒を飲み続けてきたから、これを飲むと平板に感じるんだろうけど、これは美味しいよ」
 酒蛙「余韻の苦みがいい」
 オタマジャクシ「季節にちょうど合ったお酒だ」
 酒蛙「ここの蔵は、与謝野鉄幹・晶子夫妻と縁のあるんだよ」
 オタマジャクシ「アツカン(熱燗)じゃなくて、テッカン(鉄幹)か」
 みんな「……さぶ……」
 美女Mさん、美女Sさん「この酒、炙り鯖と合う!」
 美女Mさん「炙り鯖と合わせると、酒に甘みが出てくる」
 酒蛙「おおおおっ、そうだ、そうだ! 酒に甘みと旨みが出てくる」
 美女Sさん「そうそうそう!!!」

 瓶のラベルの表示は「原材料名 米(国産)・米麹(国産米)、精米歩合60%、アルコール分15.5度」にとどまり、使用米の品種名が非開示なのは残念だ。

 蔵のホームページは、与謝野夫妻と銘柄名について、以下のように説明している。

「寛政二年(1790年)初代当主・萬屋八五郎により、現在の地に酒蔵を開き、『萬』の略字『万』を上下に分けた『一力』から『一力政宗』の酒銘が誕生しました。
 昭和8年(1933年)六代目当主・中込旻の弟 純次と交流の深かった、歌人与謝野鉄幹・晶子夫妻が、純次の母さとじの歌に興味を持たれ、『一度お会いしたい』と話が持ち上がっていました。
 その年の10月、ぶどうが実り紅葉の美しい季節にとの中込旻の計らいにより、2泊3日の甲斐路の旅が実現されました。
 与謝野夫妻は、勝沼ぶどう園から昇仙峡に1泊、甲府での歓迎会の後、増穂村の中込家(萬屋醸造店)に宿泊、この度で多くの歌を詠み、その中の一首『法隆寺などゆく如し 甲斐の御酒(みき) 春鶯囀のかもさるゝ蔵』に当主旻は深く感銘し、酒銘を『春鶯囀』へと改め、現在に至っております」

「法隆寺などゆく如し 甲斐の御酒(みき) 春鶯囀のかもさるゝ蔵」は晶子の歌。酒名「春鶯囀」は、与謝野晶子の歌由来なのである。

酒蛙

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