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日本酒津々浦々

日本全国津々浦々のさまざまな日本酒のコラムです。

【3384】金持酒(かもちざけ)【鳥取県】

2018.5.11 21:47
鳥取県日野郡江府町 大岩酒造
鳥取県日野郡江府町 大岩酒造

【山陰酒 全4回の④完】

 山陰地方を旅行した。旅先での楽しみはポイントは、お土産屋さんの酒コーナーをのぞくこと。東京の酒屋さんでは出回らない、地域限定酒と巡り会うことが多いからだ。今回はこうして集めた4種類を宅配便で自宅に送り後日、晩酌酒としていただいた。

「玉櫻 殿」「金鳳 松江城 純米吟醸」「だいせん 純米吟醸」といただき、最後4番目にいただいたのは、「金持酒」だった。このお酒は鳥取県のお土産屋さんで見つけたもので、その面白ネーミングにびっくり仰天。しかも、わたくしにとっての初蔵酒だったので、即購入した。

 このお酒の名は金持神社に由来するもので、しかも「かねもち」ではなく「かもち」と読むと後日知ったが、購入した当時は「かねもち」と読んで逆上したものだった。

 さて、まずは冷酒でいただいてみる。上立ち香は、ほとんど無臭。さらりとしたタッチで、昭和レトロ感熟成感的クラシカル香味がすこし。甘みは適度にあるが、旨みはやや少ない。酸が、奥の奥にほんのすこしある。余韻は辛みと甘み。
 
 次に、ぬる燗にしていただく。温度は40℃。甘みが特徴的。バニラ的スイーツ的な甘み。昭和レトロ感熟成感的クラシカル香味は依然、いる。余韻はすくなめの辛みと酸。

 瓶が入っていた箱の表示は「原材料名 米(鳥取県産)、米こうじ(鳥取県産米)、醸造アルコール、糖類、アルコール分14度」。なんと、この酒は普通酒だったのだ。標準的な普通酒よりレベルは上だと感じた。

 箱の中に入っていたちらしは、この酒を以下のように紹介している。

「金運招福 金持酒~金持神社祈願済み~
江府町の南隣、日野町にある『金持(かもち)神社』には、その縁起の良い名前から、年間20万人とも言われる数多くの参拝客が訪れています。この神社で祈願していただいた『金持酒』で、皆さまにも良運をお届けできれば幸いです」

 また、箱には「金持酒縁起」が印刷されているので、以下に転載する。

「時は源平争乱前夜、“悲運の皇子”以仁王を奉じ、都に隠れなき快男児あり。その名は長兵衛尉長谷部信連―。平家追討の激もれて、高倉宮に寄せる兵数百。されど信連少しも騒がず、王を秘かに園城寺へ逃がし、孤軍奮戦の知勇のほどは、法師の琵琶の音にのって後世史談の白眉となる。清盛入道おそれて伯耆国金持に流す。飢餓の荒野
に生き抜いて、信連やがて京をしのび奥日野の里を理想郷を化す。また望まれて鎌倉御家人に列し、能登穴水の城主となり、天寿70有余年、長氏700年の祖とうたわれる。
 この酒は、実に、強運、希望の酒である。信連再起の聖地・金持神社にて祈願し、故に『金持酒』という。乱世、末法を切り拓く縁起を秘めて、いつまでもつわものたちの夢を奏でるだろう」

酒蛙

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