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日本酒津々浦々

日本全国津々浦々のさまざまな日本酒のコラムです。

【3330】かち鶴 純米吟醸 Jazz(かちづる)【愛媛県】

2018.4.1 15:31
愛媛県伊予郡砥部町 かち鶴酒造
愛媛県伊予郡砥部町 かち鶴酒造

【日本酒研究会月例会 全7回の⑤】

 異業種間の酒飲み会である日本酒研究会。2007年にスタート以来、毎月欠かさず開催、足掛け12年目に入る。人事異動でメンバー交代があり、現役メンバーは7人。今回は7人全員参加。とくに新メンバーSが初参加という記念すべき例会となり、いつになく盛り上がった。会場はいつものM居酒屋だ。

 会では日本の全現役蔵の酒を飲もう、という無謀な目標を持っている。M居酒屋の店主はこれに賛同、わたくしたちが飲んだことのない蔵の酒をせっせと取り寄せてくれる。今回は愛媛県の初蔵酒5種類を出してくれる、という。ありがたい。感謝感激だ。「仁喜多津 純米吟醸」「小冨士 超辛口 日本酒度+12」「虎の尾 大吟醸」「粂の井 純米大吟醸 原酒」と飲み進め、店主が5番目に持ってきたのは「かち鶴 純米吟醸 Jazz」だった。いずれも、見るのも聞くのも初めての酒だ。

 もろみに音楽を聴かせ発酵させる、という試みは、当連載では「蔵粋 交響曲 大吟醸純米」(当連載【2977】、くらしっく、福島)を紹介している。モーツァルトをもろみに聴かせた酒なんだそうだ。

 今回の酒は、同じ方式でジャズを聴かせて醸したというから驚きだ。瓶の裏ラベルは「60年代のモダンジャズを聴かせて醗酵させた純米吟醸酒」と説明している。個人的には、モダンジャズが最も輝いていた時代は1950年代半ばから1960年代半ばまでの10年間だとおもっているので、全盛期のジャズをもろみに聴かせていることになる。さて、いただいてみる。

 酒蛙「昭和レトロ感的熟成感的クラシカル香味がいる」
 KO「その香りは、飲む前から分かった」
 T 「洋酒っぽい。かすかにピート香がする」
 酒蛙「わたくしが言っている昭和レトロ感的熟成感的クラシカル香味と、Tさんが言っているピート香は同じことを言っているのかも。酸が出て、旨みが出ている酒だ」
 KO「おおおおっ、飲みやすい。クセが無い」
 酒蛙「KOさん、クセは十二分にあるってば!」
 KO「そうかい? 笑笑」(KOは昭和レトロ感的熟成感的クラシカル香味が好きなのだ)
 酒蛙「昭和レトロ感的熟成感的クラシカル香味をさて置けば、酸が出て、旨みを伴い、さらり軽快な酒だ。飲み飽きしない酒だ」

 モーツァルトを聴かせた「蔵粋 交響曲 大吟醸純米」も、今回のジャズを聴かせた「かち鶴 純米吟醸 Jazz」も、強烈な昭和レトロ感的熟成感的クラシカル香味が出たことで共通している。音楽を聴かせると、このような香味になるのだろうか??? おそらくは、たまたま同じだっただけとはおもうが・・・。

 瓶の裏ラベルの表示は「愛媛県産 しずく媛100%、アルコール分15度」。「しずく媛」は愛媛県農林水産研究所農業研究部が1999年、酒造好適米「松山三井」の細胞培養による突然変異株を得、育成と選抜を繰り返し開発。2010年に品種登録された新しい酒造好適米だ。

 表ラベルに書かれている「人の世に今日もかち鶴あすも勝つ」が面白い。毎日の晩酌に「かち鶴」を飲んで、人生の荒波を勝ち抜こう、という意味なのだろうか。とにかく語呂が非常に良く、おもわず笑ってしまう。

 酒名「かち鶴」の由来について、蔵のホームページは「明治5年(1872年)創業。創業者の大向勝三郎、妻大向つるの名前をとって『かち鶴』とする」と説明している。これまた面白い。当主さんの名の「勝」と、奥さまの名の「つる」を合わせて「かち鶴」。蔵元さんの名を酒名につるところはけっこう多いが、奥さまの名を酒名にするのは、非常に珍しいのではないだろうか。

酒蛙

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