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日本酒津々浦々

日本全国津々浦々のさまざまな日本酒のコラムです。

【3257】福美人 大吟醸(ふくびじん)【広島県】

2018.2.6 13:41
広島県東広島市 福美人酒造
広島県東広島市 福美人酒造

【中国地方のお酒 全6回の①】

 広島県、山口県、島根県を旅行した。パック旅行だったが、空き時間を利用して、酒屋さんをのぞいた。自分が飲んだことがない蔵の酒を探すためだ。わたくし、無謀にも、全国の現役全蔵の酒を飲むことを目標にしている。こうして、6種類の酒をゲット、まとめて自宅に宅配便で送った。

 今回の酒「福美人 大吟醸」は、JR広島駅の駅ビルの中に入っているスーパーの酒コーナーで見つけた。後日、自宅で晩酌酒としていただいた。

 まずは冷酒で。上立ち香・含み香は、やや華やかな果実香。桃というかアプリコットのような香り。甘みと旨みを感じ、中盤から余韻は辛みが味の中心となる。余韻の辛みは、長くて強い。濃醇まではいかないが、とろみ感があり、辛みがあることと相まって、力強い飲み口。酸は感じないが、飲み進めていき、温度がすこし上がってくると、苦みとともに酸が出てきた。甘みも顔を出す。冷たくない方が味が出てくるお酒だとおもった。

 次に、ぬる燗にしていただいてみる。温度はちょうど40℃。おもわず「辛いっ!」と口に出る。刺激的な辛み。果実香は冷酒のときと同じように出てくる。旨みと甘みはおだやかに広がる。燗冷ましのエンディングは、辛みにわずかな渋みが混じる。

 瓶の裏ラベルはこの酒を「福美人の中でも永年の経験と最高の技から生まれた最上位の大吟醸酒です。冷や又は冷やしてお召し上がりください」と紹介している。

 この紹介文の「冷や又は冷やして」の部分を見て感心した。この場合の「冷や」は常温、すなわち20℃を意味する。また「冷やして」は冷蔵庫で冷やすことを意味しだいたい8~12℃くらいの温度だ。「ひや」というと冷蔵庫で冷やす、という意味の説明をしている蔵が全国的に多い中で、使い分けをしているのは素晴らしい。ただ、惜しむらくは、これを理解できない消費者がほとんどであること。99.99%は理解できないだろう。せっかくここまで説明しているのなら、さらに一歩踏み込んで「冷や(20℃前後)又は冷やして(10℃前後)」という表示にすれば、消費者に分かっていただけるとおもう。残念だった。

 蔵のホームページはこの酒を以下のように紹介している。

「機械式で絞り、タンクで保管した大吟醸。『蔵乃華』 とは違うキレを感じます。香りを抑え、飲み口の味のふくらみを感じる特徴は福美人の酒に共通のテイスト。麹(こうじ)の甘みがかすかに残る後口が忘れられません」

 瓶の裏ラベルの表示は「原材料名 米(国産)・米麹(国産米)・醸造アルコール、アルコール分16度以上17度未満、精米歩合40%」にとどまり、使用米の品種名が非開示なのは残念だが、蔵のホームページは「原料米 山田錦(兵庫県産100)」と開示している。

 酒名・蔵名の「福美人」の由来について、コトバンクは「酒名は、所在地の旧称『福神』と美人の代名詞『お多福』にちなみ命名」と説明している。

 また、蔵のホームページは、以下のように蔵の誇りを紹介している。

「広島県東広島市西条町では、明治時代より、日本酒の酒造りが盛んに行われてきました。 そして、今なお、多くの蔵元が軒をつらねる、白壁の街として知られています。 その酒都西條において、大正6年より酒造りを続けてきた酒蔵が、福美人酒造株式会社です。 すぐれた酒造りの技能のため、全国より杜氏が学びに訪れたため福美人は『西條酒造学校』とも呼ばれました」

酒蛙

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