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日本酒津々浦々

日本全国津々浦々のさまざまな日本酒のコラムです。

【3229】賀儀屋 純米吟醸 無濾過生原酒 直汲み 仕込18号タンク(かぎや)【愛媛県】

2018.1.17 0:39
愛媛県西条市 成龍酒造
愛媛県西条市 成龍酒造

【TT居酒屋にて 全13回の⑧】

 酒友S、N、Dと飲むことになった。異業種・同業種同席。共通しているのは酒が好きなこと。場所は、なじみのTT居酒屋。Nは利き酒師で、さすが、なかなか鋭いコメントを発する。共通の酒友Tは、今回は欠席だ。

「純青 生酛 特別純米 無濾過 山田錦 生」「吾有事 純米吟醸 初絞り生」「まんさくの花 純米吟醸 一度火入れ原酒 星あかり2017」「栄光冨士 純米大吟醸 無濾過生原酒 ZEBRA2017」「大信州 純米吟醸 生 番外品 槽場当日詰め」「二兎 純米吟醸 山田錦 五十五 生原酒」「巖 生もと 純米 心照古教」と飲み進め、店長が8番目に持ってきたのは「賀儀屋 純米吟醸 無濾過生原酒 直汲み 仕込18号タンク」だった。

「賀儀屋」はこれまで、目にする機会が多い酒で、当連載で8種類を取り上げている。とくにこのTT居酒屋では「賀儀屋」を応援しているため、わたくしもTT居酒屋で飲むことが多い。甘旨酸っぱくて、しっかりした味わいの酒、という好印象を持っている。

 この酒を持ってくるとき、店長は「この仕込タンク直汲みがミソなんです」と強調する。つまり、ブレンドしないで直汲みしているところに価値がある、と言いたいのだ。ここの店長は、各酒の要点を教えてくれるのでありがたい。感謝、感謝だ。さて、この酒はどうか。

 酒蛙「旨い! 元に戻った」(ずっと濃醇甘旨酸っぱいお酒シリーズできたが、直前の「巌」で違う路線に。そして今回の「賀儀屋」で元の濃醇甘旨酸っぱい路線に戻った、という意味)
 S 「戻りましたね」
 酒蛙「甘旨酸っぱい。濃醇。フルーティー&ジューシー。酸もいいね」
 S 「まろやか」
 酒蛙「味が整っている。旨みがいい。旨みの良さが前に出ている。独特な含み香もいい。余韻は軽い苦み」

 瓶の裏ラベルは、この酒を以下のように紹介している。

「伊予賀儀屋ブランドでは通常、同じお米、酵母から生まれる同スペックのお酒をいくつか仕込タンクに分けて数本ずつ醸しています。そしてある一定の熟成期間を経てから最後にブレンドし、一つの商品として仕上げていきます。このお酒は、そのブレンド前のお酒を仕込タンクごとに直汲みし、別囲いしたもの。私達人間が皆それぞれ姿、性格が異なるように、お酒もたとえ同じお米や酵母で同じように醸したとしても、気象条件や様々な要因によって大小様々な個性が生まれてきます。我が子のような酒だからこそ、そのお酒の個性を皆様にも楽しんで頂ければという思いで、限定瓶詰致しました」

 また、蔵のホームページはこの酒を「純米吟醸黒ラベルのベースとなる生原酒。味わいが豊かで主張ある旨味と心地いい香りが特徴的な1本」と紹介している。

 瓶のラベルの表示は「原料米 松山三井100%、精米歩合50%、アルコール分 17度以上18度未満」。

「松山三井」は、愛媛県農事試験場が、母「近畿25号」と父「大分三井120号」を交配。育成と選抜を繰り返し品種を固定、1953年に命名された主食用米。食味が良いことから一時期、作付面積が全国1位だったこともある。しかし、大粒で粘りがすくないことから次第に衰退していった。しかし、大粒でタンパク質が少なく砕けにくい、という性質は、醸造用米としては最適。このため近年、醸造用米として注目され、いま“第二の人生”を歩んでいる。

 この蔵の銘柄は「賀儀屋」と「御代栄」の2枚看板。「賀儀屋」の由来について、蔵のホームページは、以下のように説明している。

「鍵屋本家9代当主、首藤鹿之助によって酒造りはこの地で始まりました。江戸から明治へ時代が大きく変わり、人も同時に大きな変革を迎えた頃です。創業以前は地元庄屋さんの米蔵の鍵を預かる仕事を代々しておりましたが庄屋制度廃止に伴い、この家業が誕生しました」

 また、蔵のホームページは「蔵元屋号から命名された伊予賀儀屋」と説明している。つまり、鍵を扱う仕事をしていたから屋号が「鍵屋」。それが「賀儀屋」に転じた、というわけだ。

酒蛙

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