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日本全国津々浦々のさまざまな日本酒のコラムです。

【3203】萬年亀 玄米日本酒 琥珀のつぶやき(まんねんがめ)【福岡県】 

2017.12.28 15:26
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福岡県久留米市 萬年亀酒造
福岡県久留米市 萬年亀酒造

【日本酒研究会月例会 全6回の⑥完】  

 異業種の酒飲み人が月1回、M居酒屋に集う日本酒研究会。研究会とは名ばかりで、単なる飲み会。ちょっとカッコつけて研究会だ。今回はS、Fが仕事のため欠席、5人での例会となった。

「千年乃松 純米」「三吉正宗 直右衛門 純米吟醸」「豊盛 純米」「あさ喜久 純米吟醸」「金襴藤娘 純米」と飲み進め、店主が最後6番目に持ってきたのは「萬年亀 玄米日本酒 琥珀のつぶやき」だった。わたくしにとっての初蔵酒だ。全国の現役全蔵の酒を飲みたい、というわたくしの願いに協力してくれている店主が、わたくしにとっての初蔵酒をあちこちから探してくれるのだ。ありがたい、感謝感謝、だ。

 店主は前回から、福岡県の未飲蔵酒を集中的に仕入れており、前回は5蔵、今回は6蔵の福岡酒をわたくしたちに出してくれた。普通の居酒屋では飲めないものばかりだ。「萬年亀 玄米日本酒 琥珀のつぶやき」をいただく。

 グラスに酒を注ぐと、その色に仰天した。琥珀色なのだ。裏ラベルの製造年月を見たら「28.1」。平成28年1月に瓶詰めし出荷できる態勢になった、という意味だ。それから1年10カ月がたっている。たった1年10カ月で、酒がこんなに琥珀色になるわけがない。玄米酒ということは糠(ぬか)も一緒に醸造したということなので、琥珀色は糠由来の色なのだろうか???

 H 「酒に色がついている。話題性十分な酒だ。期待が大だ」
 酒蛙「ややっ! 上立ち香が紹興酒みたいだ。とんでもない仰天酒の予感がする」

 さて、含んでみる。

 酒蛙「やややっ! 甘み、旨み、酸、辛み、苦みが感じられない。さっぱりした紹興酒のような味わいだ」
 H 「なに!? じゃ、残った味はなんだ? こりゃ、(当日本酒研究会の)歴史に残る酒だ」
 T 「うおーーーっ!!! 記念すべき酒だ」
 KO「これ、いいね♪」
 みんな「そうだね、KOさんは、このような香りの酒が好きだからなあ(笑)」
 T 「記憶に残る酒だ」
 酒蛙「紹興酒から甘み、旨みを取り除いたような味わいだ」
 店主「そうですね、紹興酒をおもわせる。中華料理に合いそうです」
 女性従業員Aさん「お薬みたいな味。龍角散のイメージ」
 店主「こういう日本酒ってあるんですねぇ」(非常に感心した表情)
 T 「このような酒に巡り会えたのはいいね!」
 KO「これはいいっ! いい味が出ている」
 H 「みんな! この酒の余韻を楽しもうじゃないか!」
 酒蛙「飲み進めていたら酸が若干出てきた。渋みとエグみのようなものも感じられるようになった。糠由来の雑味か」
 T 「(当研究会)今年ナンバーワンの話題作だ」
 KO「おかわり!」

 スマホでこの酒のスペックを検索していた女性従業員Aさんが、「大変です!」と素っ頓狂な声を出した。続けて「この酒、コメを精米していません!」。もみ殻だけ除き、糠も丸ごと一緒にして醸した酒だったのだ。

 酒蛙「なに! 精米歩合100%だ! こんな酒初めてだ! これはすごい。酸がおもむろに出てきた、出てきた。辛みも感じられるようになってきた。俺もおかわり!」
 T 「俺はおかわり勘弁。史上最強の酒だ。甘み、旨み、酸味、辛み、苦みが無いと言ったけど、酸が出てきたね」
 酒蛙「うん。紹興酒から甘みと旨みと減らし、酸味を加えたようなイメージ。あらためて味わってみれば、かなりさっぱりとした飲み口の酒だ。でも、日本酒というイメージがあまりしないなあ」

 瓶の裏ラベルは、この酒を以下のように紹介している。「日本酒の原点は玄米酒です。玄米には血液清浄をはじめ、さまざまな健康効果の存在することは、衆知の通りですが、その玄米を原料として醸造した発酵食品が玄米日本酒です」

 裏ラベルにはふつう、酒では見られない栄養成分表示(本品100ml当たり)がされており、水分83.4g、炭水化物2.7g、タンパク質0.3g、エネルギー101kcal、ナトリウム4.1mg、灰分0.3gと表示されている。

 裏ラベルの表示は「原材料 米(福岡県産米)米麹(福岡県産米)(玄米80%白米20%)、アルコール分 15度以上16度未満」にとどまり、使用米の品種名が非開示なのは残念だ。これほどコメにこだわっているのだから、品種名を開示すべきだった。特定名称酒の区分表示は無いが、原材料からみると純米系。

 さらに、裏ラベルには「飲みすぎに注意して一日50ml~100ml程度を目安に御召し上がり下さい」と書かれており、「健康酒」の部分を強調している。

 蔵のホームページは、この酒を以下のように紹介している。

「日本酒の原点は玄米酒です。原料米を、削りに削って、米の栄養分を取り除き、上品に磨き上げた日本酒が大吟醸ならば、正反対に米の栄養分、米の生命力をそのまま生かして造るお酒に限りない魅力を感じるとしても、それは不思議な事ではない筈です。まさに日本酒の原点は玄米酒です。精米技術のない日本酒の創成期に、玄米と向き合って徐々に発酵技術を習得していった日本人が、人体に取り入れる栄養素として日本酒を育てていった過程が容易に想像できるのです。又、栄養素としての発酵食品であり続けたからこそ、今の日本酒が存在し続ける事ができたのだと思われます。嗜好品としてのアルコール飲料的存在だけだったとしたら、これほどまでに永々と国民酒的存在では有り得なかったと思われます。
今一度、玄米の生命力と風味を見直してみる事は、長い目で見て、日本人の体力向上に必ず貢献する事でしょう。“琥珀のつぶやき”に耳を傾けてみませんか」

「玄米には血液清浄をはじめ、さまざまな健康効果の存在する事は衆知の通りですが、その玄米を原料として醸造した発酵食品が『玄米酒琥珀のつぶやき』です。玄米の風味と力を存分に楽しんで頂く為に原酒のままお届け致します。玄米酒は久住水系の天然水で仕込んだ酔い醒めの良いお酒です。スペインのシェリー酒に似た味と香りで、ストレート、ロック、水割り、お湯割りと多様な飲み方で楽しめます。食事を召し上がりながらの食中酒としてぴったりのお酒です。50ml~100mlを目安に、飲みすぎない程度の量で体の調子をお試し下さい。必ずや、素敵な体質改善をもたらす事でしょう」

 蔵元さんは、なぜ、玄米酒を醸そうと思い立ったのだろうか。醸界タイムスWEB版(2006年6月16日)は、そのことについて、以下のように書いている。

「近年の日本酒醸造が、コメの持つ力を十分に引き出す視点で行われてきたのか、なぜ精白を進めていく酒造りしかないのか、果たしてコメの65%を取り除き仕込む吟醸酒が日本酒の最高峰なのか、それが日本酒のすべてなのか。端的には、『もったいない』(塚本社長)。そして『むなしくて、さびしい』。玄米での仕込みは、『技術屋ではないことで抱き続けてきた疑問』へ、自答の試みでもある」

 蔵の主銘柄「萬年亀」の由来について、コトバンクは、以下のように説明している。「酒名は『鶴は千年、亀は万年』にちなみ不老長寿の願いを込めて命名」

酒蛙

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