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文化

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ニッポンのGOHAN

全国の新聞社スタッフの食べ歩きブログ。グルメ情報誌に載っていない隠れた郷土料理や意外な日常食、おもしろい食べ方などが満載!

お好み焼き屋vsオカン

2007.9.24 13:00 共同通信
鉄板の上でソースがジュウジュウ音をたてています
鉄板の上でソースがジュウジュウ音をたてています

 ふらっとS@宮城さんの「冷やし中華は仙台に限る」に触発されたわけではないが、お好み焼きはやはり大阪に限る。広島にもおいしいお好み焼きがたくさんある。それを承知のうえで、あえて「大阪に限る」と言いたい(ケンカ売ってるんとちゃいますよ)。

 大阪の少年にとって、お好み焼きは日常食。流儀も伝統もない。おぼっちゃま時代のボクには、オカンが作ってくれたお好み焼きが一番うまかった。近所の駄菓子屋のオバちゃんが焼いてるお好み焼きも、夜店で売ってるお好み焼きも、みんなうまい。でも、お好み焼きは家庭の味。超有名店に何時間も並んでありがたがっていただく料理ではない。

 ・・・・と大見得を切ったものの、タマのような美少年も、やがて腹が出て加齢臭を放つ別の生物に変身する。そのころには、有名店のお好み焼きの味を覚え、舌が肥えてしまう。「鉄人」や「達人」が作るお好み焼きは、くやしいけどうまいですわ、これが! オカンやヨメハンが作るお好み焼きもウマイけど、名人のお好み焼きもまた格別と認めざるを得なくなりますねん。

 というわけで、大阪の老舗をひとつ紹介したい。戦後ほどなくオープンした「天満・菊水」という店で、故・中嶋らも氏ら有名人もよく訪れていた。らも氏もエッセーでも紹介していたが、この店の特徴は、頑固一徹のおっちゃんが、十卓ほどの鉄板を一人で管理していたこと。どの鉄板のお好み焼きがどれくらいの焼け具合か、すべて頭の中に入っていた。卓から卓をへと移動しながら、十数枚ものお好み焼きを見事に焼き上げていく。客が勝手に火を弱めたり、ひっくり返したりしようものなら、おっちゃんは激怒して、店からたたき出すこともあったという。

 ボクがおっちゃんの技を見て感心したのは、テコでギュウギュウと押さえつけないこと。やさしく丁寧に焼いていると、生地がフンワリふくらみ、香ばしい匂いがただよってくる。この店では、お肉もイカもエビも、生地の中心部分で包み焼きをするように焼くので、具の風味が逃げない。焼き上がると、ソースとマヨネーズを塗って、カツオ節と青のりパラパラ。「はい、おまっとさん!」というおっちゃんの声を合図に、テコでサクっと切り、「ジュウ」と音が出て、ボクの顔がほころんでいく。

 これは有名店の一例に過ぎない。大阪にはいろんな有名店があり、店それぞれに「なるほど」と客を唸らせる秘伝や秘技がある。店ごとに工夫を凝らし、しのぎを削っている。 ・・・・などと偉そうなことを書いた後で、ある仮説が浮かんだ。「鉄人」や「達人」の競争相手は、ライバル有名店ではなく大阪のオカンたちではないか。「たまには専門店で食べたいな」という子供や夫を前に、「どあほ。そんなもんくらい、ウチで作ったる」と豪語し、ほんとうにうまいお好み焼きをこしらえるオカンたち。彼女らこそ、鉄人や達人の真のライバルに違いない。

 近年は大阪でもお好み焼きを自宅で焼く機会が少なくなっているというような話を聞く。大阪のオカン、がんばれ!

 

 

コテコテ@OSAKA>
住所  :大阪府大阪市北区天神橋4-4-10
電話番号:06-6351-6743

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