なにわの伝説カレーを新橋で


なにわのGOHANライター・コテコテさんから「なんでやねん!」と叱られそうですが、つい先日、ランチどきに新橋をふらふら歩いていて、「自由軒」という看板が目に入りました。日本を代表するライスカレーの店を、しかも支店を、このコーナーで紹介するのはオキテ破りですが、今回ばかりはご容赦を。
まず、自由軒ののれんをくぐる前に、知っておいてほしいことがあります。「自由軒」には2系統あります。ひとつは「大阪難波自由軒」で、もうひとつは「せんば自由軒」です。両店のルーツは明治43年、難波(なんば)の地に「大阪初の西洋料理店」として創業した「自由軒」です。ご飯とカレーを混ぜた「名物カレー」は人気メニュー。この店のライスカレーの大ファンだったという小説家・織田作之助も、代表作『夫婦善哉』(昭和15年)のなかで「自由軒」を登場させています。しかし、残念ながら創業店は第二次大戦末期の大阪大空襲によって消失しました。
戦後は創業者の二男さんが中心になって「自由軒」を難波の地に、それから数年後に五男さんが船場の地に「自由軒」をそれぞれ“復活”させました。前者が「大阪難波 自由軒」で、後者が「せんば 自由軒」。東京・新橋に店舗を出しているのが、後者の「せんば」です。
これ以上グタグダ書くと、コテコテさんから「能書きはいらんさかい、早よ食え、ボケッ!」と張り倒されるので、さっそく新橋店ののれんをくぐって店にはいると、そこにはなんと、頭にポマード塗った伊達男・オダサクふうのダンディーな男たちがズラリ!・・・な~んているはずもなく、スーツ姿のハラヘーマンでごったがえしていました(笑)。
注文したのは、創業以来の「名物インディアンカレー」。生卵がトッピングされたドライカレーです。メイド姿の店員いわく
「ソースを垂らしてください」。
そういえば私の父親もライスカレーにソースをかけて食べていたっけ! ウスターソースを少しかけ、スプーンで卵をしっかり混ぜると、カレー風味の“西洋おじや”そのものです。
口に運ぶと、とんがった辛さは皆無。肉のうま味たっぷりのブイヨンで炊いたような味わいが・・・。あくまでも深く、まろやかな風味なのです。オダサクも、このカレーを食べながら自らの文学を構想したのか、などと夢想しながら完食しました。懐かしい味わいは、ソースを入れたからでしょう。
そうだ! こんど自宅で鍋をしたとき、おじやにカレーを入れ、ソースをかけて食べてみよっと!
電話番号:03-5425-2371