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ニッポンのGOHAN

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伊集院静氏お好みの組み合わせ 「アイスクリーム&ホットコーヒー」

2009.9.19 10:00 共同通信
ホットコーヒーとマックフルーリー
ホットコーヒーとマックフルーリー

 アイスクリームとホットコーヒーの組み合わせというものは、あまり広まってはいないように思える。

 しかし、実は意外といいものなのである。

 右の写真にはマクドナルドの商品を採用したが、店や商品名にこだわる必要はない。スーパーでアイスを買って、自宅でコーヒーをいれていただいても、おいしさが体験できるであろう。

 アイスを一口、二口すくって食べる。そうすると甘くて冷たい感覚が楽しめる。

 通常は続けてどんどんアイスを口に入れていく。この場合、どうしても「冷たすぎる」状況に陥る。私の場合、歯が悪かった時期には、歯ぐきにしみてしみてしょうがなくなり、「うまいけど痛い」ということになりがちだった。

 昔、「煙が目にしみる」という歌があったが、「アイスが歯にしみる」のは、ちょっと具合がよろしくない。

 そこでコーヒーを一口、二口すする。冷たさが緩和される。コーヒーの味と香りが口の中に広がる。これがいい。バランスがいいのである。

 イタリアのデザートに「アフォガート」というものがある。アイスクリームにエスプレッソかなんかをかけるものだが、やはり日本人としてはアイスクリームとホットコーヒーを交互に食べ、飲んでみたいものである。






 もともとこの方式は、作家・伊集院静氏の著書で知ったのである。

 伊集院氏は以前からこういう組み合わせを好んでいたという。氏のエッセイにはこう書かれている。

 京都・四条の喫茶店にいる。

 朝から小説の取材で、京都の町を歩き続けたので、骨休めにぶらりと入った。

 アイス・コーヒーを一杯飲んでから、ホット・コーヒーを注文した。

 おかしいと思われるだろうが、私はよくこんな注文をする。

 新幹線に乗っても、コーヒーのホットとアイスクリームを一緒に頼んだりする。これが結構イケル。

(伊集院静「時計をはずして」 文春文庫 P69)







 これだけの記述しかない。

 どこがどういいのか、詳しく書いていない。しかし十数年前にこの文章を読んでから、内容が妙に頭から離れなかった。

 別のエッセイには、こう書かれている。


 ひどい二日酔いで新幹線に乗った。

 大阪にて公開鼎談である。

 (中略)

 途中アイスクリームとホットコーヒーを買って、売り子のべっぴんさんにおかしなオジサンという顔をされながら、私は目の焦点が定まらぬまま流れる窓の外の風景を追っていた。

(伊集院静「半人前が残されて」 文春文庫 P41-43)






 ここの書き方もあっさりとしている。

 しかし、作家が同じことを2回も書くのだから、よほど気に入っているのだろう。

 もしかすると、伊集院氏が考案した組み合わせなのかもしれない。

 最近、伊集院氏のエッセイを読み返している。

 既に終了した週刊文春のシリーズ「二日酔い主義」がいい。上記で紹介した二つの文章も「二日酔い主義」のものである。

 これはすごい。「私小説」というジャンルはあるが、伊集院氏の作品は「私エッセイ」ともいうべきものだ。

 「飲む、打つ、買う」という言葉があるが、氏のエッセイでは「飲む」と「打つ」がすさまじい勢いで展開される。小説を執筆する傍ら、競輪や競馬、麻雀などのギャンブルに没入し、夜は酒場で徹底的に飲む、という日常が描かれている。

 文章の随所で、心にしみるフレーズが出てくる。

 密度の濃い半生を反映したフレーズだ。それを読むと、先ほど述べた「アイスが歯にしみる」ような状況となるのである。

 ただ、伊集院氏の文章のしみ方は、痛いのだけれども、患部に薬がしみこむような、なんとなく「いい痛み」なのである。

 この作家の作品はすばらしい。実に味わいがある。尊敬してしまう感じだ。

 ですので、上記で偉そうに「伊集院氏」などと書いたところは「伊集院様」に訂正させていただきたいと存じます。よろしくお願い申し上げます。

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湯浅 泉 (47NEWS編集部)>
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