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ニッポンのGOHAN

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これが鵜匠直伝、長良川の天然鮎のなれずし 【GOHAN特製原稿】

2010.6.14 10:00 共同通信
長良川の天然鮎のなれずし(手前)と鵜鮎の塩焼
長良川の天然鮎のなれずし(手前)と鵜鮎の塩焼

 岐阜の名物に「鮎のなれずし」がある。岐阜市のほぼ中央を流れる清流長良川で、秋に捕れた脂身の少ない落ち鮎に塩と米だけで自然発酵させて作る昔ながらの天然鮎のなれずしである。

昔ながらの鵜飼を世襲で伝承する鵜匠の家で、鵜を見ながら鮎料理が味わえる喫茶店が市内にあることを知った。店の名は「鵜の庵(うのいおり) 鵜」。「鮎のなれずし」(1500円)と「鵜鮎の塩焼き」(1000円)を味わった。

 「鮎のなれずし」は、宮内庁式部職の鵜匠・山下純司さん(71)手作りの逸品。鵜匠伝承のなれずしである。鮎は、低カロリー・低脂肪・低コレステロールだけでなく、血圧を下げる効果があるといわれる。塩加減と米飯の量で味が変わるという「鮎のなれずし」は、岐阜県産の米ハツシモを長良川の伏流水でふっくらと炊き上げてさまし、鮎のおなかに詰め込んで熟成させたものだ。

 食べやすくカットされて運ばれてきた。まず、フナずしのように強烈なにおいを覚悟していたが、そんな心配もすぐに消えた。鮎を包むようにまぶしてある自然発酵した白いご飯は、淡雪にも見えて涼しささえ感じさせる。おなかにもしっかり詰まっている。

 どんな味なのか? 発酵したご飯が、それこそ雪のように口の中で溶ける。ほどよい酸味が口の中で広がり、さっぱりした味わい。しっかり引き締まった肉厚の身は、脂が少なく骨が抜いてあると思わせるほど柔らかい。鮎独特の苦みをほんのりと感じてうまい。思わず鵜を見て「うーっ」とうなずいていた。

 身を食べた後は、頭と尾を湯のみに入れ、熱々のお茶を注いで飲んでみた。気分は鮎のひれ酒だ。お茶に鮎の香りと味わいがにじみ出るほどうまいお茶だ。ご飯に「鮎のなれずし」をのせてお茶漬け風にして食べてもおいしいだろうなー。

 1966(昭和41)年創業の「鵜の庵 鵜」。戦前から山下さんの父が副業で営んでいた駄菓子屋を喫茶店に改装、2年後、鵜を見ながらのもてなしとして鮎雑炊を提供したのが今の店の始まりである。「鮎のなれずし」は30年以上前、変色と雑菌を防ぎ長期保存ができる真空パックの機械を導入して店で食べられるようにした。

 子供のころ父から教わったという「鮎のなれずし」は、毎年9月の初めに、すがれの鮎の腹を割いて洗い、塩を付けてカメで漬け込む。12月の初めに塩抜きをしておなかにご飯を詰め、木おけに3、4段にして漬け込み、竹皮を敷いてふたに石の重しをのせて自然発酵させる。鮎は長良川の天然もののオスを使う。塩加減も重要だ。

 1300年の歴史が息づく長良川の鵜飼。その魅力をより身近に味わえる「鵜の庵 鵜」では、鮎の焼く香ばしいにおいが店内に広がり、食欲をそそる。昔も今も正月に、世話になった人に配るというほど「鮎のなれずし」は貴重な一品だが、この店では年中味わえる。背丈より大きな1枚ガラスの窓越しに、庭で放し飼いにしている24羽の鵜たちを見ていると、時間を忘れてリラックス。その背景には金華山がそびえ、頂上の岐阜城も見える。

 鵜匠歴51年になる山下さんの話を聞きながら「鮎のなれずし」を味わうと、長良川とともに生きてきた人たちの息吹を感じる。気軽に鮎と鵜と鵜匠の語らいを楽しめるのは、ここしかない。今宵の鵜飼も最高だ。




長良川で活躍する鵜たち【アマデウス@岐阜 (岐阜新聞)のエントリー】

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岐阜新聞の食関連サイト】

岐阜のGOHAN-【岐阜新聞】

ぎふグルメ-【岐阜新聞】

味わう-【岐阜新聞】

【写真】長良川で活躍する鵜たち

 

 

アマデウス@岐阜 (岐阜新聞)
住所  :岐阜県岐阜市長良中鵜飼94-10
電話番号:058(232)2839 /FAX: 058(233)5503
オススメ:鮎のなれずし
営業時間:10:00-16:00

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