「鎌倉で一番おいしい」と名乗るビーフシチュー 【GOHANスペシャル】


ある日、父から「鎌倉の生涯学習センターに『鎌倉で一番おいしいビーフシチュー』という看板を立てている店が入っているから見てこい」という指令が下されたので、早速行ってみた。確かに「一番」と名乗っている。自ら「一番」と名乗るのはハルク・ホーガン以来、とんと見たことがないので、非常に興味深い思いで店に入る。
中に入って少々驚いた。まるで美術館のごとく絵画が並び、椅子やテーブルなどの調度品も年季の入ったものでそろえられている。聞けば、額縁の中の絵は店のご主人の手によるものらしい。このご主人、絵だけでなく詩や焼き物もたしなむという。中世の絵画やゴシック建築を好み、加えて大きいものが好きだという。言われてみれば、椅子やテーブル、ランプも大きい。
そして、いよいよ本題のビーフシチューを注文する。メニューでは「王様のビーフシチュー」となっている。やはり店の看板のことが気になったので尋ねてみると、「自分たちでは一番だと思っている」と強気の発言。期待に胸を高鳴らせていると、シチューが運ばれてきた。見た瞬間思った。「確かに、これはモノが違う」。本格派のビーフシチューだ。ちなみに皿も大きい。

まずシチューを口に運ぶ。素晴らしいコクが口の中に広がる。「一番」の看板はだてではなかった。次は、やはりビーフだ。これがまた素晴らしい。大きめにカットされたビーフだが、スプーンを当てると簡単に裂けるほど軟らかい。もちろん、とても食べやすい。脂身は外してあるのだが、肉特有のうま味、甘味はきちんと押さえている。おいしい上に健康にもいい。その他の具としてはジャガイモ、ニンジン、インゲン、ブロッコリーが入っており、季節に合わせて具を変えているという。やはりそれぞれ大きめにカットされており、味も深い。
シチューは、奥様が開発した秘伝のものを使用しており、素材の組み合わせも考え尽くしたという。使用しているワインにもこだわりがあり、現在使用しているものは、イタリアやフランス、国産などさまざまなワインを試した末に、その銘柄に行き着いたのだそうだ。この店のほとんどのメニューは特製のデミグラスソースが基本となっており、それが店の生命線となっている。それだけに、そのワインとの出会いは、この店にとってことのほか大きかったのではないだろうか。

ビーフの軟らかさの秘訣は煮込みにあるという。1日煮込み、1日冷やし、さらにまた1日煮込む。計3日かけてじっくりと軟らかくするのだそうだ。これにより、あの軟らかくうま味のあるビーフが出来上がる。
また、メニューには「王様のプリン」というのもあったので、頼んでみた。私はプリンが大好きだからである。これも王道のプリンであった。甘く、濃厚で、かつ大きい。まさにキングだ。「王様のプリン」はコーヒー(紅茶)とのセットなら1050円。他にも「王様のパウンドケーキ」があり、ビーフシチュー、プリンと合わせ、この店の3本柱なのだそうだ。店のメニューはどれもが手作りで、本物を提供することに気を配っているという。
電話番号:0467-25-2030
オススメ:王様のシチュー