女性1人でも安心のすし店 ネタはもちろん酢飯がおいしい お手頃価格でお腹も心も大満足【GOHAN特製原稿】


もはや「SUSHI」は世界標準語。「お江戸生まれのファストフードなのにねえ」と知った振りを気取っても、いざ初めての店に入るとなったら敷居は高い。「大将が注文の順序にうるさかったらどうしよう」「常連さんの中でカウンター席は浮いちゃう」。「何より『時価』だったらどうする?」などなど妙齢の記者の不安は尽きず。
でも「今日はおすしを食べたい、連れはいないけどどうしても!」というときにお薦めなのが「かすが野」だ。
「一人なんですけど…」とおそるおそる訪ねてみると「カウンターへどうぞ、どうぞ」。通された店の奥にはこの道40年のベテラン福森正人さん(59)はじめ4人もの板前さんがいるではないか! 「やっぱり帰ろう」とひるんだのを察したのか、「今日のおすすめはトリ貝ですよ」と声を掛けてくれたのが堀木裕二さん(47)。回転ずしでトリ貝の皿を取りまくる記者は「ください!」と清水の舞台から飛び降りた。
ランチタイムと休憩を挟み夜の部の営業。お一人様にうれしい夕食セットはすしと巻物におわん、小鉢が付いて1000円から。中でも人気は「いちょうセット」(1700円)。秘伝のタレを付けたアナゴは臭みもなくふっくらでマグロもとろり。甘エビはぷりぷりとぜいたくな夕食を堪能できる。

お手軽価格といったって、ネタには当然こだわっている。何しろ4人もの板前がそろっているのだから目利きの充実ぶりは半端じゃない。
このお店、創業95周年を迎える「日本醸造工業」(東京都文京区)が経営している。ということは…。
「酢飯もしょう油もうまいです」
今では合わせ酢を使う店も増えている中、炊きあげた米に砂糖と酢をまぜ込み、昔ながらの方法で丁寧に酢飯を作るという。「砂糖を使うと照りが出て、冷めてもご飯が軟らかい」というのがその理由。「なるほど! いくらでもご飯が食べられるのはそういうことか」と納得した。
一品料理も品ぞろえ豊か。魚のすり身にニンジンなどをまぜて仕込み、注文を受けてから揚げる「自家製さつまあげ」や自社製白味噌に魚を漬け込んだ「西京焼き」。関東みその特徴でやや塩味が強いが、日本酒指南をしてくれるホール担当者のきめ細かいサービスでついついお酒も進んでしまうというわけ。

ネタの名前がいまいち分からなくても大丈夫、低く流れるジャズをバックにカウンターでお好みで握ってもらうのも楽しいものだ。「分からなかったら聞いてください」と目配り上手のスタッフの皆さんに緊張をほぐされて最初の不安は消えました。お腹も心も大満足。
サバやアジなどの「光り物」、ホタテ、ツブ貝が並ぶ「貝づくし」、サーモンにマヨネーズをのせた変わりダネもある「あぶり物」というメニューのおかげで、大人の「ばっかり食い」が許されるのも魅力です。時間があれば、大学時代、写真を専攻した堀木さんにスナップ写真を撮ってもらえるかも(?)という特典あり。
電話番号:03(3818)2233
オススメ:すし