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ニッポンのGOHAN

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謎多き、名物料理 新潟・上越市の「するてん」【GOHAN特製原稿】

2014.11.10 17:57 共同通信
「海の幸 味どころ 軍ちゃん」高田店で食べた一夜干スルメ天ぷら
「海の幸 味どころ 軍ちゃん」高田店で食べた一夜干スルメ天ぷら

 新潟県に「するてん」という名物料理がある―。「するめの天ぷら」のことらしいが、飲み込むのに苦労するほど固いするめを揚げて果たしておいしいものなのか…。そこで、正体を確かめるべく、戦国時代には上杉謙信の居城・春日山城、江戸時代には高田藩の藩庁である高田城の城下町として栄えた同県上越市へ向かった。

 豪雪地帯で知られる新潟県。降雪期でも通行できるように江戸時代に考案された、現在のアーケードにあたる雪よけの屋根「雁木造」がめぐらされた風情ある街を楽しみながら、JR高田駅から徒歩5分ほどの「海の幸 味どころ 軍ちゃん」高田店を目指した。日本海の魚を中心に、地元産の食材が楽しめる居酒屋だ。

 さっそく、「するてん」を注文する。ほどなくして出てきたのは、どう見てもいつも食べている〝普通の〟イカの天ぷら。注文を間違えたのだろうか。店員の方に聞くと、一夜干ししたイカを天ぷらにしたものだという。メニューを見返すと、確かに「一夜干スルメ天ぷら」と書いてあった。

 生のイカの天ぷらとどこが違うのか。わざわざ干す意味はどこにあるのか―。いぶかしがりながら、口に入れた。食感こそさして変わらないが、かむごとにうまみが広がっていく。生のイカに比べ、水分が抜けているのでうまみが増しているのだろう。「各店によって、干す際の味付けが違います。うちは(新潟)県立海洋高校が開発した魚醬を使っているのでひと味違うと思いますよ」。同店の橋立知昭店長が教えてくれた。あまりのおいしさに、ビールが止まらなくなると同時に、疑問も頭の中でふくれあがっていった。

 それは、一夜干しのイカを「するめ」と呼べるのか。そして、本当の「するてん」は別にあるのではないかという疑いだ。するめと言えば、かちかちに干されたもの、一夜干しではどうしても違和感が消えない。そこで後日、発祥の店「天ぷら 若杉」の佐藤巌さんに尋ねてみた。

 佐藤さんによると、イカがよく採れる上越市周辺ではするめとして保存しており、各家庭ではそれを水で戻したものを煮たり、揚げたりしてうまく料理に利用していたという。その知恵を生かしながら、より食べやすくしようと、約20年前に考え出し、店で提供する際に、新たに名付けたのが「するてん」だった。

 佐藤さんが「するてん」で用いるのは、20時間以上天日で干したイカ。「一夜干しに比べると、固めで歯ごたえがしっかりしているのが特徴です」と佐藤さん。その分、うまみも増していそうだ。一夜干しでもかなりおいしかっただけに、食べ比べられなかったのがつくづく悔やまれる。

 だが、来年3月には北陸新幹線が開通し、東京から上越市はおよそ2時間とぐっと近くなる。桜の名所として知られる高田城で花見した後に、リベンジするのも悪くない。

 

 

榎並秀嗣@新潟・上越(47NEWS)
住所  :新潟県上越市本町4-1-8
電話番号:025(526)3950
営業時間:11:00~14:00、17:00~22:30

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