みそと合わせる肝の滋味 身も心もポッカポカ 茨城県北部のあんこう鍋【GOHAN特製原稿】


茨城県北部の冬の名物と言えばあんこう。一見、不気味な姿と、さばきにくさのため、敬遠されることもあるが、どっこい名人の手にかかれば、味わい深い料理に仕立て上がる。東京・銀座にある茨城県のアンテナショップ「茨城マルシェ」で、あんこうならではの「吊し切り」の妙技と、もともとは漁師の料理である「あんこう鍋」を堪能した。
吊し切りをしたのは、民宿を経営し「あんこうマイスター」の称号を持つ篠原聡さん。あごにフックをかけて吊したあんこうに鋭利な包丁でジョリッ、ジョリッと音をを立て、ひれ、えら、皮、肉、肝、胃、卵巣の「七つ道具」を手際よく切り分けていく。その間、約10分。骨以外に捨てるところはない。
北茨城のあんこう鍋は独特のみそ仕立て。しゃれではないが、みそに合わせる、あん肝が味のキモだ。肝を鍋に炒りつけてみそを合わせる。
椀に盛られた鍋を早速いただく。湯気から立つのは、好もしいみその香り。ほのかに魚が持つ磯の香りも感じられる。まず魚肉に手を付ける。身の詰まった魚肉は、歯に当てるとギシギシと音を立て、その新鮮さを主張する。皮や、ひれの付け根はプリンプリン。ゼラチンとコラーゲンたっぷりだといい、肌にも良さそうだ。

一口、汁をすする。みそに溶けた肝の風味とコクはかなり強いが、くせはなく舌の上を抜けても余韻が残る。こうなると、もう日本酒をいただくしかない、この鍋に合う日本酒の一つが「悪代官」(岡部合名会社・常陸太田市)。名前は強烈だが、口に含むとスッキリとして後を引かず、あんこうの味とない交ぜになって胃の腑に落ちる。これを「口福」と言わずなんと言おう。身も心もポッカポカだ。
茨城マルシェでは、ディナータイムにあんこう鍋を味わうことができる(2人前から)。また1月24、25日は茨城マルシェで、イオンモールつくば(茨城県つくば市)では2月7日、8日に吊し切りと試食のイベントが行われる。
電話番号:03(5524)0818
オススメ:あんこう鍋