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文化

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【4540】勝駒 純米(かちこま)【富山県】

2021.4.13 21:07
富山県高岡市 清都酒造場
富山県高岡市 清都酒造場

【H居酒屋にて 全5回の①】

 なじみのH居酒屋の店主からショートメールが入った。「FY2(若波=福岡県)など新しいお酒が入りましたので、お越しください」。おおおっ、それなら行かねばならない。常人では考えられない嗅覚力を誇るちーたんに同席を願い、新しいお酒を味わった。

 最初に選んだのは「勝駒 純米」だった。この蔵のお酒を当連載でこれまで、4種類取り上げており、クセのないきれいな酒という強い印象を持っている。このような酒は最初に飲むのに適している。「勝駒 純米」は以前、当連載【255】で取り上げているが、11年前のことだったので、再度取り上げる。

 この蔵は芸術家・池田満寿夫とちょっとした関係があった。以前、M居酒屋の店主が「たった5人しかいない蔵の酒です。池田満寿夫が気に入り、ラベルの字も書いたものです」と言い、以下のようないきさつを教えてくれた。店主によると、高岡市は古くから銅器の町で、銅器が好きな版画家の池田満寿夫は、佐藤陽子とともに高岡をしばしば訪れていた、という。ある日、銅器関係者の宴席で、池田満寿夫と同席した勝駒の社長は、池田満寿夫が勝駒の酒をとても気に入ったことから、「それでは、勝駒のロゴを書いてくれませんか?」と執筆を依頼したところ、二つ返事でOK。数日後には「書けましたよ」と連絡があったという。蔵では、この書をラベルに使い、現在に至っているのだという。

 さて、あらためて、池田満寿夫が書いたロゴをみながら、いただいてみる。

 酒蛙「きれいな酒だ。軽快で、さっぱりとした口当たりの酒だ」
 ちーたん「日本海沿いの森みたいな香りを感じる」
 酒蛙「この酒、日本海沿いの酒だよ。大当たりだ」
 ちーたん「えーっ!」
 酒蛙「酸がいい感じで出ている」
 ちーたん「美味しいねー。いい香りだ。富山湾の風景が目に浮かぶ」
 酒蛙「抜群の食中酒だ。香りを抑えており、落ち着き感がある。旨みと辛みが適度に出ており目立たないが、バロック音楽の低音のように存在感をしめしている。余韻は軽い苦み。飲み飽きしない酒。いくらでも飲めそうなお酒だ」

 瓶のラベルのスペック表示は「アルコール分16度、原材料名 米(国産)米こうじ(国産米)、精米歩合50%、製造年月20.10」。使用米の品種名が非開示なのは残念だが、精米歩合がなんと50%であることに驚かされる。50%というと純米大吟醸を名乗ってもおかしくないスペック。精米歩合50%なのに純米酒を名乗っているのは、「三千盛 純米」(岐阜県)くらいしか、わたくしは知らない。

 このほか、ラベルには、以下の口上が掛かれている。

「小さな手造り酒やですから 年に、そう、こっぽり(沢山)とはできません」
「造り手、僅か5人で、こつこつと一心に醸(つく)っています。これまでも、そうでした。これからも、そうです。 年に少量。でも、量産では出せないうまさを醸り続け、守ってゆきたい(『真の贅沢を知る酒』―そう評して下さった方がいました)。誇りを持って―『わたし達は、富山の小さな手造り酒やです』」
「お米って、仕込むと、とてもフルーティな香りがするんですよ。その時季、蔵の中は、うっとりするような香りに満ちるのです。いちど、その芳香をかがせてあげたい。店主よりそんな思いを込めてお届けします」

 酒名「勝駒」の由来について、「日本の名酒事典」は「1906(明治39)年創業。酒名は日露戦争(1904-1905年)の戦勝を記念にしてつけられた」と説明している。

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