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文化

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【4495】而今 純米吟醸 山田錦 火入(じこん)【三重県】

2021.2.26 18:47
三重県名張市 木屋正酒造
三重県名張市 木屋正酒造

【Z料理店にて 全8回の⑧完】

 久しぶりに近所のZ料理店の暖簾をくぐった。この店には、だいたい2カ月に1回のインターバルで顔を出している。予約すればさりげなく、わたくしが飲んだことがない酒を冷蔵庫に入れておいてくれる。「うちは居酒屋じゃないからね。料理を出す店だからね」とわたくしにクギを刺しながらも、なかなかニクい心遣いだ。

「日高見」「会津中将」「田酒」「喜多の華 貴醸酒」「醸侍」「姿 純米吟醸 無濾過生原酒 中取り」「姿 純米吟醸 無濾過生原酒 極すがた」と飲み進め、最後8番目に選んだのは「而今 純米吟醸 山田錦 火入」だった。

 木屋正酒造のお酒は飲む機会が多く、当連載でこれまで20種類を取り上げている。そのほとんどが「而今」だ。甘旨酸っぱいしっかりとした味わいの、非常に高位安定の酒造りを続けている孤高の地酒蔵、という印象だ。今回の「純米吟醸 山田錦 火入」は、とっくに飲んでいたとばっかり思っていたが、調べてみたら、まだ飲んでいないことが分かった。では、いただいてみる。

 口に含んだ瞬間、「旨いっ!」と声に出た。やわらかな口当たりで、甘旨酸っぱい味わい、ジューシー。そして、きれいな酒質。実に美味しい。鼻に抜ける含み香は果実的であり、ややセメダイン的香り(酢酸エチル似の芳香)も入っている。「而今」というと濃醇で力強い酒というイメージがあったが、この酒は意外に軽めでびっくり。キレも良い。而今って、こんなに軽かったっけ???と何度も自問した。それにしても、バランス抜群な酒である。

 瓶の裏ラベルのスペック表示は「原材料 米(国産)米麹(国産米)、原料米 山田錦100%、精米歩合50%、アルコール分16%、製造年月2020.08」。

 裏ラベルには、どの「而今」の裏ラベルにも書かれているように、これも、「過去に囚われず 未来に囚われず 今をただ精一杯に生きる  杜氏 大西唯克」と、蔵の口上が書かれている。「今この一瞬」。文語では、「而して今」。これが、酒名の由来だ。由来についてコトバンクは、「酒名は、仏教用語で『今の一瞬』の意。過去や未来に囚われず今をただ精一杯に生きるという意味を込めて命名」と説明している。「而今」とは、道元禅師が中国での修行時代に悟った世界観。

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