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文化

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【4419】栄光冨士 上撰 本醸造 辛口(えいこうふじ)【山形県】

2020.12.9 16:26
山形県鶴岡市 富士酒造
山形県鶴岡市 富士酒造

【E居酒屋にて 全6回の①】

 E居酒屋で、異業種交流飲み会を開いたとき、ママが「今日のお酒のほか、新規のお酒も入っていますよ。飲みに来てね」と声を掛けてくれた。常日ごろ、「新しい酒が入ったら教えてね」とお願いしている。効率良く「日本酒津々浦々」の取材をするには、この方法が一番だ。ということで、非常にありがたい声掛けだった。それから4日後、店の暖簾をくぐった。

 まずいただいたのは「栄光冨士 上撰 本醸造 辛口」だった。「栄光冨士」は比較的飲む機会が多い酒で、当連載でこれまで、12種類を取り上げている。「栄光冨士」というと、極甘極濃醇という強烈なイメージがわたくしの脳味噌に刷り込まれている。その極甘イメージの「栄光冨士」が辛口酒とは! 興味津々でいただいてみる。

 セメダイン香(酢酸エチル的芳香)ニュアンスのバナナとアンズが一緒になったような上立ち香が華やかに広がる。含むと辛みより甘みを感じ、やわらか、ふくよかな口当たりで、クセがまったく無し。非常にきれいな酒質。旨み適度、酸はあまり感じられず、余韻はやや辛み。辛口を名乗っているが、辛口には感じない。極甘極濃醇な酒がイメージされる「栄光冨士」にしては辛口なのだろうが、世間一般のモノサシからすると、辛口ではなく、中口や旨口クラスに感じる。しかし、飲み進め、温度がすこし上がってきたら、辛みがそろりと出てくる。しかし、それとても大人しい辛みだ。

 瓶のラベルのスペック表示は「製造年月20.7、アルコール分15度以上16度未満、原材料名 米(国産)米こうじ(国産米)醸造アルコール、精米歩合60%」。

 この蔵は、戦国武将・加藤清正ゆかりで知られる。蔵のホームページは、このことについて、以下のように記している。

「冨士酒造は戦国武将・加藤清正公をゆかりとしております。加藤清正公の嫡男・加藤忠廣公は11歳で家督を継いだのですが、改易の沙汰があり、お預けとなった現在の山形県、出羽ノ国・庄内の地で一男・熊太郎、一女・妙延を授かり、この加藤妙延を開祖としております」

 また、酒名「栄光冨士」の由来について、ほかの「栄光冨士」の裏ラベルは、以下のように説明している。

「江戸幕府第10代将軍・徳川家治の時代、安永7年(1778年)、第4代加茂屋・加藤専之助有恒(せんのすけ・ありつね)が、当時天領とされていた大山地区(現在の山形県鶴岡市)にて、親戚筋の加藤治右衛門より酒株24株を入手し、酒銘を『冨士』と定め酒造業を開始致しました。昭和30年代に『栄光』の2文字を冠し『栄光冨士』として商標を登録致して以来、裏表の無い昔ながらの酒造りと共に、四季醸造に取組んでおります」

 このほか酒名「栄光冨士」の由来について、山形市の吉田酒店のサイトは、以下のように説明している。

「1778年(安永7年)、『冨士』を酒銘として定め酒造業を開始しました。『冨士酒造』の銘は、創業当時、全国の蔵元の商標に『富士』や、その他の日本が誇る名所の名を標榜するものがいくつかあり、それに倣い昭和39年に『栄光」を冠し商標を登録。これが、富士山に何の関係もない山形に『栄光冨士』という蔵が存在する理由です」

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