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【4418】上川大雪 純米吟醸 彗星(かみかわたいせつ)

2020.12.8 18:49
北海道上川郡上川町 上川大雪酒造緑丘蔵
北海道上川郡上川町 上川大雪酒造緑丘蔵

【日本酒研究会月例会 全6回の⑥完】

 コロナ禍で4月から7カ月間、開催を自粛していた日本酒研究会の月例会。そろそろ再開していいだろう、と8カ月ぶりに例会を開いた。会では長年、M居酒屋をホームグラウンドに使ってきたが、諸事情があり、店を変える必要に迫られた。そこで、わたくしが新しいホームグラウンドに選んだのが、なじみのE居酒屋だった。この店は、酒の品揃えが素晴らしい。ふだん、目にしない銘柄も冷蔵庫に並ぶ。セレクションにセンスが感じられる。それが指名の要因だった。

「双葉山」「佐伯飛翔」「丹誠」「天賦」「上川大雪 特別純米 吟風」に続き、これも上川大雪酒造の「上川大雪 純米吟醸 彗星」だった。同酒造は、実質的に新規参入蔵だ。

 上川大雪酒造のホームページを要約すると、設立から今日に至るまでの概略は以下の通り。

 社長の塚原敏夫さんは1967年、北海道札幌市生まれ。小樽商科大学卒、野村證券(株)、外資系金融機関などを経て (株)三國プランニング代表取締役(現職)。世界に通用する日本酒(地酒)を醸し、『6次産業化地方創生ビジネス』のイノベーションを目指すため、日本酒の製造を休止していた三重県の酒造会社を、北海道上川郡上川町に移転し、上川大雪酒造を設立。2017年5月、「清酒及びリキュール製造場移転許可通知書」を受けた。

 北海道の同地を選んだ理由を、「流通やコストよりも酒造りの環境を最優先。日本で一番短い夏と長い冬。大自然が与えてくれる理想の酒造り」としている。つまり、冷涼な気候と大雪山系の伏流水こそが、日本酒づくりに最適、と判断したのだった。また、地元産米を使用することを基本理念とし、北海道産の酒造好適米「彗星」「吟風」「きたしずく」の3品種を使用することにしている。

 上川大雪酒造はさらに、国立大学法人「帯広畜産大学」との産学連携の取り組みとして、同大学キャンパス内に酒蔵「碧雲蔵」を創設した。北海道国立3大学経営統合(小樽商科大学・帯広畜産大学・北見工業大学)の象徴となる事業とし、農業から加工技術を経て、マーケティングして消費者に届ける、6次産業化地方創生ビジネスのイノベーションを目指す。大学キャンパスに酒蔵を造るのは全国初だ。

 さらに来年、産学連携の取り組みとして函館工業高等専門学校と、函館市立亀尾小中学校跡地に酒蔵を創設する。酒蔵では、地元の「酒米」「水」等を利用した地酒製造、関連商品の開発を行うとともに、函館高専の研究施設も併設し、醸造学や醸造技術の教育研究、人材育成を目的とした連携を推進する計画だ。

 函館市は北海道有数の観光都市でありながら、地酒が無いのが悩みだった。このため、小樽市や兵庫県の酒蔵に頼んで、函館ラベルの酒を造ってもらい、観光客に提供してきたいきさつがある。上川大雪酒造の蔵建設により、天下晴れて函館地酒を観光客に提供できることになる。

 さて、前置きが長くなった。「上川大雪 純米吟醸 彗星」をいただいてみる。

 Y 「これは旨い。すっきりした甘み」
 N 「甘みがあり、サイダーをおもわせる味わい」
 酒蛙「やさしい口当たりで、直前に飲んだ特別純米よりも、旨みのふくらみが増している」
 F 「美味しい果物をおもわせる」
 酒蛙「ラフランスかゼネラルデクラークといったところの香味か」
 F 「そうそう」
 酒蛙「甘みがあり、甘旨酸っぱくてジューシー。余韻は苦み。やや軽快感がある」
 F 「うん。ジューシー」
 N 「一口目と二口目以降の印象が全然違う。このようなタイプの酒は初めてだ」

 蔵のホームページはこの酒を以下のように紹介している。

「瑞々しくやわらかな口あたりと仄かながら存在感のある吟醸香。米のうまみをしっかり引き出しながら後口のキレの良さが際立つ純米吟醸酒です。
【杜氏からのメッセージ】
 現代風の華やかさを十分に持ち合わせながらも、手の内にある昭和の吟醸酒を少し意識して、米の旨味をしっかりと引き出す造りで醸しています。香りと味わいが心地よく響き合い、いろいろな食事と一緒に気軽に楽しめる、上川大雪ならではの”味のある吟醸酒”。お好みの酒肴とともに、ぜひ味わってみてください」

 ラベルのスペック表示は「製造年月2020.09、原材料名 米(北海道産)米こうじ(北海道産米)、精米歩合50%、アルコール分16度、杜氏 川端慎治」。

 使用米の「彗星」(すいせい)は北海道立中央農業試験場が1996年、母「初雫」と父「吟風」を交配。育成と選抜を繰り返して品種を固定。2006年に命名、2006年に種苗法登録された酒造好適米。

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