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文化

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【4287】榮万寿 50 2018 生酒 8TH VINTAGE(さかえます)【群馬県】

2020.8.5 12:11
群馬県館林市 清水屋酒造
群馬県館林市 清水屋酒造

【B居酒屋にて 全8回の⑦】

 コロナ感染防止のための緊急事態宣言が解除された当地では、居酒屋が徐々に営業を再開している。なじみのB居酒屋も5月7日から営業を再開した。さっそく暖簾をくぐったが、まだ客は戻っていないようで、店長やスタッフは浮かない顔だ。しかし、居酒屋できちんと飲むのは1カ月ぶりというわたくしは、大張り切りで8種類の酒を飲んだ。

「獅子吼」「東一」「萩の鶴」「新政」「三芳菊 山廃 純米 生」「三好菊 アマビエ」と飲み進め、7番目にいただいたのは「榮万寿 50 2018 生酒 8TH VINTAGE」だった。「榮万寿」は、ラベルが非常に印象的なデザイン。それゆえ、もう何種類も飲んでいるつもりになっていた。しかし、調べてみたら、当連載でこれまで2種類しか取り上げていなかった。これにはびっくりだ。わたくしにとって、よほど存在感がある銘柄なのだろう。

 さて、いただいてみる。含むと、菌類っぽい、木香っぽい、ばあちゃんのタンスっぽい、生酛っぽい、独特な香り。甘みをまず感じ、次に酸が出てきて、甘酸っぱい味わい。これは旨い。しっかりとした味わい。そして後味は辛み。この辛みがけっこう強い。そしてキレが良い。直前に2種類飲んだ個性的な「三芳菊」に負けない、存在感のある味わいのお酒だった。

 瓶の裏ラベルは、このお酒の製造年月について、以下のように説明している。

「製造年月について:榮万寿は、ヴィンテージ(熟成)をお楽しみいただくため、ボトリング時の年月を記載しております。特にヴィンテージ商品に関しまして1年以上前の年月となっておりますが、適切な環境下で保管されているため劣化することなくワイン同様、熟成を重ねるごとに香り・味わいに磨きがかかりお召し上がりいただけます」

 また、蔵のホームページは、この酒を以下のように紹介している。

「色合いは淡く美しいレモンイエロー。洋梨・トロピカルフルーツ・蜂蜜を思わせる多彩なアロマに満ちています。 口に含むと、じっくり低温発酵された気品ある粘性。アタックは瑞々しくフルーティですが、次第に純米吟醸特有のクリーミィでリッチな味わいへと変化していきます。エレガンスと趣を兼ね備えた逸品です」。洋梨・トロピカルフルーツ・蜂蜜を思わせる…と書いているが、わたくしは、そうは感じなかった。味覚は、人それぞれなので、どちらが正解といえるものではない。

 瓶の裏ラベルのスペック表示は「原材料名 米・米麹・乳酸・酵母、精米歩合50%、アルコール分16度、酒造好適米 新潟県産五百万石100%使用、商品取扱 要冷蔵・推奨5℃の保存、その他添加物の使用はありません、製造年月2019.1」。

 封緘ラベルに書かれている「Unpasteurized SAKE」が気になる。業界用語なのかどうか知らない。直訳すれば「低温殺菌されていない酒」となる。すなわち「生酒」だ。蔵元さん、このような解釈でいいのでしょうか???

 瓶が内容量750mlのブルゴーニュ型ワインボトルであるのがユニークだ。このボトルを使う理由について、蔵のホームページに長文を載せているので、興味のある方は、そちらを見てください。

 ラベルの6つのドットと、「榮万寿」の意味について、蔵のホームページは以下のように説明している。

「6つのドットは歴代の蔵元と6代目当主を表しております。ドットの赤色は『情熱』と漢字『榮』の炎を表し、現在のコーポレートカラーになっております。グラデーションになっているのは歴代からの進化の過程、相違を表しております。
『SAKAEMASU(榮万寿)』のLogoは、 正方形の中に[榮]の文字、正方形は[升]、2つの要素で『SAKAEMASU』を構成して表し、 四方の隙間は型にハマらない経営方針を。-升の右回転と時が相まって時代に合わせて進化・創造をし続けていくことを表しております」

 さて、蔵のホームページは以前(今のサイトでは探せなかった)、会社を以下のように紹介していた。

「1873年に創業した清水屋酒造。1985年生産休止。そして、2010年11月四半世紀振りに2つの日本酒『榮万寿 純米酒2010』『榮万寿純米吟醸2010』の製造・販売を再開致しました」

 そして、紹介文の近くに「ますますさかえます」の文言が。そうか、「栄えます」を酒名に使ったんだ。ここで、初めて、仕掛けが分かる。

 ところで気になるのが、休んでいた蔵を4半世紀ぶりに再開した、という部分。なぜ1985年に休んだんだろう。そして、なぜ2010年に再開したのだろう。それを体系づけて説明しているページを探せなかった。わずかに、蔵元杜氏本人とおぼしき方のブログに、それらしきことが書かれていたので、以下に貼り付ける。

 「2009年8月1日 就任
 本日付で清水屋酒造に就任致しました。暫くは会社をフラット化するため色々と雑用が多くなりますが、並行して引継ぎと会社再建のため邁進して参ります。7月は準備期間のためボランティアで稼働していましたが実質は一日しか休みがなく日々、身体中が筋肉痛のためバキバキです(苦笑)。腰が持つか心配です(焦)  因みに竜巻直撃のためタイムロスしてしまい誤算でした!  しかし、今月10日から一ヶ月半ですが日本で唯一の国の研究機関の酒類総合研究所で清酒製造技術講習を受講するため行って参ります!  全国各地から集う次世代を担う強者に出会うのを楽しみにしています(嬉)  後継者として知識・技術を学び、酒造業界の常識を覆すためプロダクトプランニング・マーケティング・セールス・プロモーションに生かしていく所存です」

 う~む、熱い。よく理解できない部分も多いが、松岡修造ばりの熱さだ。要するに、25年ほど廃業していた蔵を、息子さんが再興した、ということか。それにしても、すごいことである。

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