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文化

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【4257】惣邑 純米吟醸 酒未来(そうむら)【山形県】

2020.7.4 21:32
山形県長井市 長沼合同
山形県長井市 長沼合同

【B居酒屋にて 全8回の①】

 コロナ感染防止のため、東京などで予定していた飲み会が次々中止になっていった。中止になった飲み会は、たとえば4月だけで6件。出費が抑えられるからいい面はあるが、わたくしの場合、飲み会を、この「日本酒津々浦々」の取材に充てているので、取材の機会が失われ、執筆・掲載に支障をきたすことになる。

 そこで、自力で近所の居酒屋に取材に行かなければならない。当然、酒の銘柄に偏りが出てくるが、正常化までの“つなぎ”だから、止むを得ない。ということで、なじみのB居酒屋の暖簾をくぐる。よもや、このような状況になるとは思ってもみなかった。

 店の冷蔵庫を見て、トップバッターに選んだのは「惣邑 純米吟醸 酒未来」だった。長沼合名のお酒は当連載でこれまで、2種類を取り上げており、このうち「惣邑」は「惣邑 純米吟醸 無濾過生原酒」(当連載【1848】)を取り上げている。おとなしい酒質、という印象があったのでトップバッターに起用した。複数種類のお酒を飲むとき、個性の強い酒はなるべく後ろに持ってきた方が、それぞれのお酒の本来の味を楽しめるのだ。さて、いただいてみる。

 酸が出て、旨みを伴う。これが第一印象だった。次に感じたのは、さらっとした口当たりであること。そして、なめらかでもある。純米吟醸ではあるが、香りは果実香がほのかで、華やかではない。総じて、甘酸っぱい味わいの、丸みのある、やさしくて、おとなしめのお酒だった。狙い通りの酒質だった。

 瓶の裏ラベルは、この酒を以下のように紹介している。

「仕込み水に山形県長井市の恵まれた水を使用した、手造りのお酒『惣邑 純米吟醸 酒未来』ラベルのモチーフにもなっている長井市のふるさと工芸品『長井刺し子』のように、丁寧に時間をかけて造りました。爽やかな口当たりと透明感のある味わい、穏やかに広がる香りが食事にもよく合います。一年に一度だけの特別なお酒を、心ゆくまでお楽しみください」

 瓶のラベルのスペック表示は「アルコール分 16度、原材料名 米(山形県産)米麹(山形県産米)、原料米 酒未来100%、精米歩合50%、製造年月19.5」。

 使用米の「酒未来」についてウィキペディアは、「1999年、民間機関開発。高木酒造の高木辰五郎が山酒4号/美山錦を交配して育種。米雑穀卸業の株式会社アスクが商標登録の権利を有する」と説明している。

 また、地酒屋サンマートのサイトの中にある「お酒用語集」では、以下のように説明している。「『十四代』で知られる山形県の高木酒造の高木辰五郎社長が、『山酒4号』『美山錦』を交配して育種した酒造好適米。自社で交配、育成し、地元の山形県内で栽培した酒造好適米を用いた日本酒を醸造することにより、全国に山形の清酒をアピールする目的で誕生。酒造会社自ら酒米の交配、育種を手掛けた例は全国的でも珍しく、『龍の落とし子』と兄弟系統にある『酒未来』は、山田錦の交配種にあたり、品種改良によって山田錦の系統を受け継いだ醸造適正が非常に優れた酒造好適米です」

 長沼合名会社を応援している、という「まるはち酒店」のホームページは、「惣邑」の銘柄の由来について、以下のように紹介している。

「長井市伊佐沢地区で手仕事に魅せられ、こだわりを持ちつつも肩ひじを張らずに物づくり(陶芸、漆工芸、獅子彫り工芸)を続ける職人達『手しごと衆・つくりと邑』がいる。『つくりと邑』の心と長沼家が代々受け継いできた『惣右衛門』とをひとつにし、手造りの酒の心を託し、(惣邑・そうむら)と命名」

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