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文化

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【4249】美保 純米吟醸 原酒 瓶囲い(みほ)【島根県】

2020.6.24 15:41
島根県松江市 米田酒造
島根県松江市 米田酒造

【B居酒屋にて 全4回の②】

 当連載「日本酒津々浦々」は、原則として同じ酒を2回載せることはしていない。ごく例外的に2回載せたものが2種類ほどある程度だ。このため常日ごろ、飲んだことがない酒を求めている。このB居酒屋は、わたくしが飲んだことがない酒が冷蔵庫に入っていることが多いので、必然的にしばしば“取材”に訪れることになる。

 今回、最初に選んだのが「晴雲 SAKURA 特別純米」。続いていただいたのは「美保 純米吟醸 原酒 瓶囲い」だった。見慣れない銘柄だなあ、とおもって裏ラベルを見たら、島根県の米田酒造の作。つまり有名地酒「豊の秋」の蔵のお酒だった。米田酒造のお酒は当連載でこれまで、3種類を取り上げている。落ち着き感のあるしっかりした味わいのお酒というイメージを持っている。今回のお酒はどうか。いただいてみる。

 仲居Nさん「すごい旨みを最初に感じる」
 酒蛙「うむ、たしかに。甘旨みがほわ~~んと膨らむ。これが第一印象だ」
 仲居Nさん「そしてキレが良い」
 酒蛙「たしかにキレが良い。やわらか、ふくよか、穏やかな口当たり。果実的な吟醸香がけっこう香り立つ。酸はほのか」
 女性板前Kさん「かかわれば、かかわるほど、じわじわ来る美保さん。まったりとした口当たり。余韻は辛み」
 酒蛙「すごいなKさん。すごい表現だ。分かるような気がする。余韻はたしかに辛み」

 瓶の裏ラベルは、この酒を以下のように紹介している。「美保」は蔵の新しい銘柄だったのだ。しかも、名の由来をきちんと書いているところが素晴らしい。

「蔵元の誇りと挑戦から、新しい日本酒が生まれました。米の旨味を感じる凛とした風格、優雅で気品ある吟醸香。酒銘は神と海と人を結ぶ町、島根県松江市美保関町の『美保神社』に由来します」

 また、蔵のホームページは「美保」について、以下のように紹介している。要約すると、熱い気持ちが損なわれるような気がしたので、全文を掲載することにした。

「新しい銘柄ができました!というと、酒蔵発の情報としては重大なご報告だとは思うのですが、既に季節限定酒が完売になるなど完全にタイミングを逃してしまったこともあり、きちんとしたご紹介ができないまま今日まできてしまいました。すいません。
 しかしあれこれと表面的な説明を経ずとも、まずお酒を口にしていただき、おいしいと感じてくださった方々からそのお酒が広まっていくというのは大変嬉しいことです。そしてそういうお酒を改めてご紹介できることは、大変誇らしいことです。
 『美保』は大吟醸を仕込むような繊細な造りによって、米の旨味を感じる凛とした風格、優雅で気品ある香りを表現しました。島根県産酒造好適米『五百万石』を58%まで磨いた純米吟醸で、原酒でありながらアルコール度数16%とやや低めに仕上げています。27BYでは年間通じて出荷している『1回火入れ』と、季節の『生原酒』『ひやおろし』の計3タイプがあり、どれも食中酒としての豊の秋の信条である『ふっくら旨く、心地よく』はそのまま、クラシックな印象に加えてモダンな雰囲気が覗きます。
 またここしばらく取り組んでいる上槽後の早期の火入れや瓶囲い(瓶貯蔵)により、口に含んだ時のみずみずしさはデラウェアのような甘美さとなりました。この点は先日より一新した瓶詰めラインが28BYより本格稼働すれば、なお一層良くなるのではと期待しています。単に古い設備を更新したというわけではなく、グレードアップした瓶詰めラインによって上槽後の充填→貯蔵の流れがスームーズかつ迅速に行われるようになることで、エレガントな味わいが1本1本に表現されます。
 どんな世界もそうだと思いますが、伝統と本質、革新と変化のバランスで新しいものが出来上がっていくのだなと常々感じています。日本酒は米と水というシンプルな素材で生まれるものですので、なおさらそこにどのような形で手を加えるかということが重要になってきます。本質はしっかりと、ただし挑戦的な変化をさせながら、そこに蔵の環境が後押ししながら、という一連の動きが『美保』という新しいブランドで垣間見えた気がしています。
 上濱杜氏は『次の美保はまだまだ良くなる。造る喜びも含めて、これからが楽しみ』と話していました。きっと『美保』を通じて、皆様も感じ取っていただけるはずです。

 裏ラベルのスペック表示は「アルコール分16度、原材料名 米(国産)米こうじ(国産米)、原料米 島根県産五百万石100%、精米歩合58%、杜氏 上濱智信(出雲杜氏)、製造年月20.2」。

 前述したが、この蔵の主銘柄は「豊の秋」。その由来について、蔵のホームページは以下のように説明している。

「原料の米をはじめ、酒造りには自然からの恵みが欠かせません。当蔵の代表銘柄『豊の秋』は、自然からの恵みに感謝するとともに地域の暮らしも豊かになるよう、すべての五穀の豊穣を祈り、さらに芳醇なお酒が醸し出されるようにと名付けられました」

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