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文化

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【4238】よこやま SILVER 10 純米吟醸 生酒【長崎県】

2020.6.4 21:41
長崎県壱岐市 重家酒造
長崎県壱岐市 重家酒造

【S居酒屋にて 全12回の⑪】

 仕事で知り合った飲み仲間TとA、そしてわたくしと元同僚のW。この4人で飲み会を開いた。場所は銀座のS居酒屋。キャパが大きく、置いている酒の種類も非常に多い。フロアマネージャーのような方は酒にめっぽう詳しい。酒の勉強をするのにもってこいの店だ。お酒はフロアマネージャー的なSさんにすべてお任せだ。

「ゆきおんな」「初亀」「天明」「魔斬」「御慶事」「楯野川」「真稜 至」「大倉」「若波」「自然郷」と飲み進め、11番目にいただいたのは「よこやま SILVER 10 純米吟醸 生酒」だった。

 この蔵には物語がある。

 重家酒造は焼酎と日本酒を造っていたが1991(平成3)年から日本酒造りを休止、焼酎専門蔵として経営してきた。しかし、蔵元さんの息子さんたちが「どうしても壱岐島で日本酒蔵を復活させたい」と2013年、23年ぶりに日本酒づくりを再開しよう、と決意した。とはいっても、現状の重家酒造ではすぐには日本酒を造れないので、横山太三さんが佐賀県の日本酒蔵のタンクを借りて、2カ月間住み込みで酒を造った。

 こうして造ったお酒をわたくしは2014年に飲んだ。それが「確蔵 特別純米 Our Spirit 僕らの想い」(当連載【1587】)だった。「確蔵」は、この蔵の創業者の名だ。蔵復活をめざして造った「確蔵」の裏ラベルには「玄界灘に浮かぶ自然豊かな壱岐島に生まれ育ち、故郷を離れ、壱岐島の良さを実感する。故郷に戻り、國酒造りを通して、『壱岐島の魅力を世界へ伝える』これこそが我が使命。僕らの想い 世界へ届け」という熱いメッセージが掲載されていた。将来は、壱岐島に日本酒蔵を再建したい、という意欲に燃えていたのである。

 横山太三さんの、蔵再建のための修業は続く。今度は、「東洋美人」で知られる山口県の澄川酒造場のタンクを借り、お酒を造り続けた。こうしてできたのが「横山五十」。わたくしは2015年、「横山五十 純米大吟醸 山田錦」(当連載【2172】)を飲んでいる。「横山五十」の評価は高く、看板銘柄に育った。

 こうして重家酒造は、満を持してふるさと壱岐島に酒蔵を建設。2018年から酒造りを再開したのだった。実に28年ぶりの酒造再開だった。今回のお酒の裏ラベルには「壱岐島での日本酒造りを再び」と題し、以下のメッセージが掲げられている。

「1990年~2017年までやむなく日本酒造りを休造していた。いつか壱岐島での日本酒造りを再びと熱い想いから、現杜氏横山太三が同志の蔵元で5年間の修業を得て、2018年日本酒蔵を島に建設。苦難を乗り越え約30年ぶりに壱岐島に日本酒が誕生した。熱い想いの詰まったこの國酒をご賞味頂けましたら幸いです。冷やしてワイングラスでお楽しみください。~國酒で乾杯~」

 さて、おもいが込められたお酒をいただいてみる。

 酒蛙「マスカット、メロンなどが一緒になったような果実香」
 A 「すっきり飲みやすい」
 T 「軽やかではあるが、落ち着いている」
 W 「沸き立つような感じを受ける酒だ」
 酒蛙「やわらかでやさしい口当たり。甘みと旨みをまず感じる。甘旨と酸が一緒になり、非常にジューシー。フレッシュなフルーツを飲んでいるようなイメージ」

 瓶の裏ラベルのスペック表示は「原材料名 米(国産)米麹(国産米)、使用米 山田錦100%、精米歩合 掛米55% 麹米50%、アルコール分16度、製造年月19.12」。この蔵は、2018年から酒造を始めているから、この酒は2造り目ということになる。ちなみに酒名の「10」は、使用した酵母が協会10号、という意味なんだそうな。

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