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文化

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【3717】写楽 純米吟醸 なごしざけ 羽州誉 一回火入(しゃらく)【福島県】

2019.2.9 16:02
福島県会津若松市 宮泉銘醸
福島県会津若松市 宮泉銘醸

【B居酒屋にて 全5回の④】

 ウイークデーの夕方。会社から帰宅後、ふらりとB居酒屋へ。この店は、冷蔵庫に入れている酒の種類数が多い。しかも、時々、入れ替えもしている。だから月に1回、暖簾をくぐることにしている。新しい酒を知ることができ勉強になるし、当連載の取材にもなる。

「東力士 熟露枯 山廃 純米 洞窟貯蔵冷温熟成酒 原酒」「富久福 純米 michiko90 無濾過原酒 火入れ」「三連星 純米吟醸 山田錦 無濾過生原酒」と飲み進め、4番目に選んだのは「写楽 純米吟醸 なごしざけ 羽州誉 一回火入」だった。

「写楽」は甘旨酸っぱい味わいが印象的な、わたくしが最も好む銘柄の一つ。今回の酒を含め、当連載でこれまで10種類を飲んでいるが、どれを飲んでも旨い。飲み手を裏切らない銘柄だと感じており、わたくしは高く評価している。さて、今回の酒はどうか。

 上立ち香はほのか。期待を込めて、いただいてみる。「ふくよか。超ふくよか。甘旨酸っぱい」。これが第一印象。おおっ、わたくしがイメージしている「写楽」の印象が凝縮感とともに、素直に増幅される。果実感のある甘旨みが酸と合体し、超ジューシー。バナナ香をおもわせるセメダイン香(ベンゼン環芳香族系の芳香)むんむん。この香り、大好きだ。飲み口としては、やさしい口当たりで、けっこう厚みがあるが、めちゃくちゃキレが良い。余韻は苦みと辛み。完成度が高く、文句のつけようがない。旨し!

 瓶の裏ラベルの表示は「アルコール分16度、原材料名 米(国産)米麹(国産米)、原料米 山形県産 羽州誉100%、精米歩合50%、製造年月30.10」。そして、どの裏ラベルにも書かれている、お約束の意気込みが以下のように書かれている。「米を愛し、酒を愛し、人を愛す。みなさまに愛される酒を目指します。 宮森義弘」

 蔵のホームページは、この酒を以下のように紹介している。

「山形県の希少系3品種、龍の落とし子、酒未来、羽州誉のうち1種羽州誉で仕込んだ酒。一夏を越し、冷蔵庫で低温熟成されたうまみ、丸みのある酒です。落ち着いた立ち香に加え、口の中に入れると果実の様な含み香が特長です。冷酒で食中酒です」

「羽州誉」とは、どんなコメか。 当連載【1168】の「東洋美人 純米吟醸 酒未来」(長沼合名)の項で、すこし触れているので、要約して以下に転載する。

「『十四代』の高木社長さんは、『酒未来』を開発したのと同じ時期に『龍の落とし子』と『羽州誉』という酒米も交配・開発しており、『酒未来』も含め、3部作といわれている。『酒未来』の育成・開発には18年もの歳月を費やした、という」。ネット情報によると、長沼合名会社は十四代の高木社長から、この「羽州誉」で醸してほしい、と託された数少ない酒蔵とのこと」。すなわち、宮泉銘醸も十四代の高木社長から、この「羽州誉」で醸してみてほしい、と託された数少ない酒蔵の一つ、ということになる。

 この酒のラべルに書かれている「なごしざけ」が耳慣れない。これについて、大阪府池田市の今仲酒店のホームページが以下のように意味を説明している。

「業界ではひやおろしほど有名ではりませんが、漢字表記だと『夏越し酒』(なごしざけ)となります。涼風が吹き始めた9月は、夏を越したばかりの、ひと夏をひんやりとした蔵の中で過ごした酒。苦味や渋味もまるみをおび始め、程よい新鮮さ、濃醇な中に、軽快さとまろやかさをあわせもった、まさに『秋走り』の味わいです」

 蔵名および、従来からの酒名「宮泉」の由来について、コトバンクは、以下のように紹介している。「酒名は、中国・唐時代の皇帝の離宮『九成宮』に湧き出た泉と、自家井戸水が灘の名水『宮水』に近い水質を示すことから命名」

 そして酒名「写楽」の由来について、ウェブサイト「地酒.COM佐野吾郎の酒蔵訪問記」が説明している。「写楽」はもともとは、この蔵のブランドではなかったのだ。この記事は長いので、以下に要約する。

「宮泉銘醸株式会社は昭和29年に宮森啓治氏が創業した現在で4代続く酒蔵です。創業者の宮森啓治氏は、かつて会津で一番の規模を誇る老舗蔵『花春』の家に生まれますが長男では無かったため分家として独立されました。第二次大戦の企業整備令によって統廃合され使わなくなっていた酒蔵を買い取り、現在の場所で酒造業を始めたというのが創業の経緯です。寫楽(しゃらく)は、廃業した東山酒造という酒蔵が持っていた商標を引き継ぐ形で、平成17年に宮泉銘醸で造りはじめた銘柄。東山酒造も花春から分家した蔵で、商標を引き継ぐなら同じ家の出が良いという事で寫楽を引き継がれたとのことです」

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