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【ぼくは芸人で塾講師で、二刀流】(4) 語彙学習にコント動画を 押田貴史

2022.5.26 13:26 共同通信

  中学受験とお笑い、無縁なように見える二つの世界の出来事を、二刀流芸人がつづる。(5回続きの4)

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 驚いても、寒くても、おいしくても、面白くても「やばい」…。「やばい」自体が俗語だが、使い方もなんでもありになっているようです。「やばい」は本来、悪いことが起こりそうな時に使う表現です。

 国語の授業をしていると、語彙力のない子どもが実に多いと感じます。日常会話だけなら問題なく過ごせますが、中学受験ともなるとそうも言っていられません。

 普段からさまざまな言葉を聞いたり使ったりしているかが大きく関わります。身近な大人が使う表現の幅が狭くなっていることや、良い教材が少ないという現状もあります。言葉の勉強を苦痛に感じる子が多いみたいです。

 そんな訳で僕が働く塾では「0時間目のジーニアス」というユーチューブチャンネルを作り、コントを見ながら楽しく語彙が学べる動画をアップしました。

 塾で使用しているプリントに550個の入試に頻出する言葉が載っており、「シティホテル3号室」の相方でネタ作り担当の川合亮太と2人で、片っ端から動画にしていきました。

 どうしても笑いのネタにできないような「訃報」や「認知症」などの単語は避けました。「危篤」は、コオロギを危篤状態にするという奇策を思いつき、辛うじて成立させました。

 撮ったネタを毎朝1本ずつアップしていき、計365本を公開。「面白い」とか「お笑い芸人みたい」(お笑い芸人です)など、いろいろと反響を頂きました。「もっと見たい」という声も多く寄せられ、ボツ作品としていたおよそ170本も後に公開しました。

「板挟み」の意味を教えるコント動画の一場面
「板挟み」の意味を教えるコント動画の一場面

 

 ありがたい一方で、ボツ作品を毎日公開し続けるのは、僕らにとっては文字通り「公開処刑」でした。170日間の超ロングさらし首です。

 特に「既視感」という言葉を扱ったコントは、自分たちで見返しても意味不明です。怖い物見たさでご覧になってみてはいかがでしょうか。とにかく「やばい」ので。(第5回へ)(第3回に戻る

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 おしだ・たかし 1985年横浜市生まれ。コントを主とするお笑いコンビ「シティホテル3号室」のメンバーとして活動しつつ、中学受験専門塾「ジーニアス」で国語講師を10年以上務めている。