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【ぼくは芸人で塾講師で、二刀流】(2) 国語の成績の伸ばし方 押田貴史

2022.5.26 13:12 共同通信

  中学受験とお笑い、無縁なように見える二つの世界の出来事を、二刀流芸人がつづる。(5回続きの2)

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 押田は激怒した。必ず、かの非常識な少年を説教せねばならぬと決意した―。(「走れ押田」より)  中学受験塾で指導していると、「国語の成績の伸ばし方が分かりません」と相談を受けます。特に多いのが文章読解の勉強法。語彙力を鍛え、演習量を積むなど大切なことはいくつかありますが、ここでは「常識が大切」と言わせてもらいます。

 常識という言葉を辞書では「普通の知識や思慮分別」などと説明していますが、生徒には「多くの人がそのように考えること」と教えています。例えば、お笑いライブを見て笑っている人の気持ちを問われたら「楽しんでいる」などと答えれば正解です。多くの人がそのように考えるからです。

 しかし実際には、僕のような売れない芸人を見て嘲笑しているのかもしれません。せめて私だけでも笑ってあげようと、必死に声を出している数少ないファンの可能性もあります。  そのお客さんの気持ちは「焦燥」「同情」「絶望」でしょう。でもそれらは模試や入試ではバツになってしまう。読み取り方が自由な読書とは違うのです。

 実はお笑いも常識が大切です。非常識なことをして笑いを生み出すには常識を知っていることが大前提です。事務所の大先輩「爆笑問題」さんを例に出すと、太田光さんはテレビで非常識に振る舞っていますが、実は常識人なんです。

「爆笑問題」の(左から)田中裕二と太田光は、事務所の大先輩。右は筆者の押田貴史=東京都杉並区
「爆笑問題」の(左から)田中裕二と太田光は、事務所の大先輩。右は筆者の押田貴史=東京都杉並区

 ちなみに小学生の中には、単に非常識なことを面白いと勘違いしている子もいます。塾でエレベーターに乗ろうとした時のこと。扉が開くと1人の男子生徒が乗っていて、僕の顔を見るや「ブス」と言い放ったのです。

 聞き間違いかと思いましたが、「今面白いことを言いました」みたいな得意顔で僕を指さすのです。そのまま扉を閉めようとしたので、僕は急いで「開」ボタンを連打しました。この時、僕はどんな気持ちでしょうか。答えが気になる方は、冒頭の「走れメロス」のパロディー部分をご覧ください。(第3回へ)(第1回に戻る

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 おしだ・たかし 1985年横浜市生まれ。コントを主とするお笑いコンビ「シティホテル3号室」のメンバーとして活動しつつ、中学受験専門塾「ジーニアス」で国語講師を10年以上務めている。