×
メニュー 閉じる メニュー
文化

文化

【ぼくは芸人で塾講師で、二刀流】(1) 2月の勝者と8月の敗者 押田貴史

2022.5.26 13:03 共同通信

 中学受験とお笑い、無縁なように見える二つの世界の出来事を、二刀流芸人がつづる。(5回続きの1)

お笑いコンビ「シティホテル3号室」の押田貴史=東京都新宿区
お笑いコンビ「シティホテル3号室」の押田貴史=東京都新宿区

   ×   ×

 3015分の1。これが何の数字か分かるか? 2021年のキングオブコントで勝者になれる確率だ。じゃあ1206分の416は何だと思う? 男子校の最高峰、今年の開成中学の合格者数だ。およそ3分の1の確率で勝者になれる―。

 こんな言葉で生徒を鼓舞することがあります。初めまして。「シティホテル3号室」というお笑いコンビで活動しつつ、中学受験専門塾で国語の講師をしている押田貴史です。格好良く言うと今流行りの“二刀流”です。「爆笑問題」は事務所の大先輩です。

 塾講師として今年で18年になります。今年成人年齢が引き下げられたので、塾講師を始めた年に生まれた赤ちゃんはもう成人。1人で契約ができる年齢になったということです(時事問題は社会で狙われやすい!)。

 首都圏では年々中学受験熱が高まっています。小学3年生から塾に通い始める家庭もあり、そこに懸ける思いは並々ならぬものがあります。1月に埼玉、千葉などで入試が始まり、2月1日から東京、神奈川の多くの私立中学で本番を迎えます。みんな“2月の勝者”になりたいのです。

 勉強を教えるだけではなく、時には励ましてやる気を引き出す場面もあります。そこで、二刀流芸人ならではの冒頭の発言になるのです。

 ちなみに実際の賞レースでは、本番当日に面倒くさくなって欠場したり、ケンカしてそのまま解散したりするコンビもいます。3015組と言っても、開成中の出願者1206人とは質が違うわけです。

 生徒のモチベーションを上げるための詭弁と言われればそれまで。結果にコミットするためには論理の飛躍もいとわないという、僕なりのプロ意識です。

 ちなみに僕は芸歴11年目になりますが、世間的にはまだ誕生したとすら認識されていません。事務所との契約を切られないか心配です。あまり聞いたことのない日本語だと思いますが「早く赤ちゃんになりたい」。2021年のキングオブコントで僕らは8月の準々決勝で敗退してしまいましたが、今年も挑戦するつもりです。2月の勝者のために奮闘する“8月の敗者”の話にお付き合いください。(第2回へ

「ぼくは芸人で塾講師で、二刀流」
「ぼくは芸人で塾講師で、二刀流」

   ×   ×

 おしだ・たかし 1985年横浜市生まれ。コントを主とするお笑いコンビ「シティホテル3号室」のメンバーとして活動しつつ、中学受験専門塾「ジーニアス」で国語講師を10年以上務めている。