文化
時節柄、規則は破られるためにあると云う逆説的な言い回しを聞き入れるわけにはいかないが、時と場合によっては、それもまた真なりと肯きたくなる。誰が決めたのか判らないルールの場合は尚更だ。暗黙のルールに ... [続きを読む]
電線を吹き鳴らす木枯らしの響き俄に凄まじく、往来するトラックのエンジン音の如何にも師走らしく耳立つ日の暮れ。数冊の文庫本を購入して家路を急ぐ。年内に清書しておくつもりでいる。(この稿は2020年1 ... [続きを読む]
この週末はまた突然に、鏡のおもてを拭ったようなこの青空。住み古した陋居の隅々まで俄に暖かい陽光が差し込むように思われて(10月下旬だと云うのに)、唯わけもなく誘われるような心地して、見飽きた野山の ... [続きを読む]
拙宅の古池に撓垂れるように枝を広げる紅葉(もみじ)が紅く色付き出した。10月下旬ともなればさすがに寒暖差が激しくなる。柿の古木も負けじと、その葉は、日増しに深緑から黄、そして紅に色を脱ぎ始めている ... [続きを読む]
怠惰に過ごした夏を悔やんでみても仕方がない。庭の虫の音にハッとさせられる新秋、久しく忘れていた呪いの言葉が蘇ってきた。先程より降り出した秋雨のお陰で余計にかそけくなる虫の声を聞くともなしに小夜更け ... [続きを読む]
8月下旬の昼時。人も猫も古池の蜻蛉さえも、生物の凡ゆるものが喘ぎ、果ては倦怠に落ち込む。今日もまた、そんな激しい暑さである。此処、陋居のあるY市の丘でもそうした暑さは東京と変わらない。と云うよりも ... [続きを読む]
どんよりしていた空はまたぞろ篠突く雨を降らした。雨宿りとか相合傘とか、雨はよく恋の仲立ちをするもので、まして春雨であれば、シトシトと静かに、雨だれの音も何となく人の心をそそるような誠に恋の雨ともな ... [続きを読む]
自粛生活に代わる新たな日常に不慣れだからか、仕事の合間合間に、気が付けば、ぼんやりと身体の何処かしらに生じた空隙に嵌り込んでいる。それにもし雨でも降ってご覧なさい。それも潔いくらいに豪快な土砂降り ... [続きを読む]
既に始まったパラダイムシフトを受け容れつつ、何が起きようが、我々は内なるイメージの世界を萎縮させるべきではない。よしんばファッションに於ける創造や創作が、これまでのような自前のオーラを持ち得なくな ... [続きを読む]
いつの時代にも云えることだが、世の懐深くには無抵抗の相手に対して残酷になれる芽が潜んでいる。芽は思い出したように醜く繁茂して、世相に暗い影を落とす。救いとなるのは人類の叡智なのか。それとも精神主義 ... [続きを読む]