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なるほど漢字物語

文化勲章を受けた漢字学者の白川静さん(故人)の研究を基にして、漢字の体系的な仕組みを楽しく伝える企画です。

(23) 「笛」 竹でできた空っぽのもの

2008.8.30 12:24
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 白川静さんの文字学を知ると、古代中国人の生活ぶりがよく伝わってくる漢字の系列がたくさんあります。でも今回は、そんな古代中国への理解・知識がなくても、字形を見たらパッと分かる文字の系列を紹介(しょうかい)したいと思います。

 それは「由」に関連した漢字です。この「由」はヒョウタンの類のことです。ヒョウタンは熟すと、中身が油状となり、その中身が外に出てしまうと空洞(くうどう)状態となります。ですから、この「由」を字形内に含(ふく)む文字には「空っぽ」という意味があります。

kanji23.gif

 でもこの「由」には単独の古代文字形がありません。白川さんは「由」について「その由来を知りがたい字」と字書に書いています。古代文字がない「由」は「由来を知りがたい」としゃれているわけです。白川さんは字書にもこんなしゃれを書く楽しい人でした。

 そのヒョウタンの実が熟して油状になったものを「油」と言います。

 その油状になったヒョウタンの実を手でくり抜(ぬ)き、中身を外に引き出すことを「抽(ちゅう)」と言います。そこから「ぬく」「ひく」の意味になりました。

 空っぽを示す一番わかりやすい例は「宙」でしょう。これは「宀(うかんむり)」と「由」を合わせた文字。「宀」は屋根の形で建物や空間を表します。「由」は空っぽの意味。だから「宙」は空っぽの空間のこと。そこから「そら」の意味となりました。

 「笛」もその由来を知ればなるほどと思う字です。「竹」でできた空っぽのもの(由)といえば「ふえ」のことですね。

 「軸(じく)」とは車軸のこと。車軸受けの空洞の空間を車軸が回転している姿から生まれた字で「じく」の意味になりました。

 「袖(そで)」は比較(ひかく)的後世の字ですが、これも空っぽの空間の意味を含んでいます。袖口から中をのぞくと空っぽのように見えるので「そで」の意味となったのです。(共同通信編集委員 小山鉄郎)

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