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なるほど漢字物語

文化勲章を受けた漢字学者の白川静さん(故人)の研究を基にして、漢字の体系的な仕組みを楽しく伝える企画です。

(26) 「章」 入れ墨の美しさ 

2008.9.20 12:27
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 「辛(しん)」という字は針の形を表す漢字です。「辛」が投げ針として使われた「新」や「親」を前回紹介(しょうかい)しましたが、今回は「辛」が入れ墨(ずみ)用の針として使われた文字をいくつか説明しましょう。

 前回も少し紹介しましたが、「辛」が入れ墨用に使われたため、その痛さから「つらい」の意味が生まれ、それを味覚の意味にも広げて「からい」となったのです。

kanji26.gif

 最初は「文章」の「章」です。「章」は「辛」と「日」を合わせた字形。「日」の部分は墨(すみ)だまりです。墨だまりがある針を使って、人に美しい入れ墨を加えます。その入れ墨の美しさから「章」は「あきらか」「あや」の意味となりました。

 次は「言」です。これは今の字形からは「辛」との関係が分かりにくいので、まず古代文字を見てください。古代文字では「辛」と「口」を合わせた形になっています。

 「口」は何度も説明していますが、神への祝詞(のりと)を入れた器「サイ」です。その「口」の上に入れ墨用の針「辛」を置いて、神に誓(ちか)う言葉が「言」なのです。それが「信ずる」にあたらないときには「入れ墨」の刑(けい)に服しますと誓うのです。

 このような「言」の字の意味にも表れていますが、入れ墨をした人は罪人が多いのです。

 例えば、「童」はもとは男性の罪人を表す文字でした。古代文字形は少し複雑ですが、上から「辛」「目」「東」「土」を合わせた字形です。

 犯罪を犯した男性は目の上に入れ墨をされたのです。もともと受刑者を意味する字ですから、奴隷(どれい)となり「しもべ」の意味にもなりました。

 受刑者は結髪(けっぱつ )が許されず、その姿が髪(かみ)を結わない子どもたちと似ていたので「わらべ」の意味ともなったのです。

 「童」に対して、女性の受刑者を表す文字が「妾(しょう)」です。「辛」と「女」を合わせた「妾」は額に入れ墨を入れられた女性の姿です。(共同通信編集委員 小山鉄郎)

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