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なるほど漢字物語

文化勲章を受けた漢字学者の白川静さん(故人)の研究を基にして、漢字の体系的な仕組みを楽しく伝える企画です。

(61)「秀」 雄しべ雌しべの垂れた姿

2009.9.14 9:35
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 「禾(か)」は稲(いね)の形です。その稲の形の被(かぶ)り物をつけて豊作を祈(いの)る踊(おど)りをするのが「委」や「年」や「季」の字であることを、これまで説明してきました。そこで今回は、稲の実りに関する字を紹介(しょうかい)したいと思います。

「秀」

 それらの中心的な字形は、やはり「禾」です。古代文字も稲穂(いなほ)が垂れた形をしています。その「禾」に「乃(だい)」を加えた字が「秀(しゅう)」です。「秀」の「乃」の部分は垂れた稲穂(禾)から、花が咲(さ)いている形なのだそうです。花が咲いて、雄しべ雌しべの「しべ」が垂れている姿を文字にしたものです。

 「花」が咲く時は最も美しく、秀(ひい)でた状態なので「ひいでる」という意味になりました。

 その次は「穆(ぼく)」です。これは学校では習いませんが、稲に関係ある文字なので、理解するだけでいいですから、説明を読んでください。

 この「穆」の古代文字、愉快(ゆかい)な形をしていると思いませんか? 古代文字は絵のようにかいたものが多いので、愉快なもの、怖(こわ)いものなどいろいろありますが、ユーモラスな字形としては、この「穆」が屈指(くっし)でしょう。

 これは稲(禾)が実って、穂が垂れ、まさに実がはじけようとしている形をかいた文字です。つまり稲の実の中が美しく充実(じゅうじつ)しているさまです。

 だから「穆」には「みのる」という意味がありますし、そのほかに「つつしむ」「まこと」「やわらぐ」の意味があります。「やわらぐ」とは稲のよく実る時の気候はやわらいでいるからです。

 最後は「禿(とく)」です。

 これは稲(禾)の実が落ちて殻(から)になった状態を表している文字です。実が無くなった稲(禾)の状態を人間の姿に移して、頭の禿(は)げている人のことを意味します。

 さらに他のことに移して「禿筆(とくひつ)」(穂先のすり切れた筆)などと言います。このように「秀」「穆」「禿」は一連の象形文字なのです。(共同通信編集委員 小山鉄郎)

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