メニュー 閉じる

47News

文化

文化

なるほど漢字物語

文化勲章を受けた漢字学者の白川静さん(故人)の研究を基にして、漢字の体系的な仕組みを楽しく伝える企画です。

(68)「固」 干加え、さらに囲い守る 

2009.11.9 9:27
Share on Google+ このエントリーをはてなブックマークに追加

 今回も神様への祈(いの)りの祝詞(のりと)を入れる器「口」(サイ)を守る漢字です。「口」(サイ)を守る漢字は非常にたくさんあります。別な見方をすれば、神に祈る行為(こうい)を表している「口」(サイ)がいかに大切なものであったかということでもあると思います。

「固」

 まず「古」です。これは「十」と「口」(サイ)を合わせた文字。この「十」は数字の「十」ではなくて、長方形の盾(たて)である「干(かん)」という文字の省略形です。ちなみに「盾」という字は「干(たて)」を目の上にかざして、防ぎ守る字形です。

 このように「干」はもともと盾で「ふせぐ」の意味のほかに、「干渉(かんしょう)」などの「おかす・みだす」の意味もあります。また「乾燥(かんそう)」の「乾」と同音なので「ほす」の意味にもなりました。

 さて、この盾である「干」を祝詞を入れる器「口」(サイ)の上に置いて「口」を守る字が「古」です。守ることで祈りの効果が長く保たれるので「ふるい」「いにしえ」の意味となりました。

 次は「固」です。これは「古」を「囗」の中に入れた文字です。祝詞を入れる器「口」(サイ)に「干」(盾)を加えて守るのが「古」。それをさらに「囗」の中に入れて囲うのが「固」です。

 「固」は祈りの効果を守り固めるので「かためる・かたい」の意味となり、祈りの効果が固定されるので「固有」などの熟語にある「もとより」の意味となったのです。

 しかし、あまりに堅固(けんご)に守られすぎてしまうと、古くなってしまい、精気のないものになってしまいます。

 それを反映した文字が「枯(こ)」です。この字は神への祈りの祝詞を入れた器「口」(サイ)の上に「干」(盾)を置いて守り、祈りの効果を長く保たせることですが、あまりに古いものなので、木が精気を失って、「かれて、かわいて」しまうのです。それを表している漢字です。(共同通信編集委員 小山鉄郎)

最新記事

関連記事一覧