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なるほど漢字物語

文化勲章を受けた漢字学者の白川静さん(故人)の研究を基にして、漢字の体系的な仕組みを楽しく伝える企画です。

(70)「五」 木を斜めに交差させた蓋 

2009.11.24 9:17
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 古代中国では神に祈(いの)るお祭りが大変重要なものでした。ですから神への祈りの祝詞(のりと)を入れる器「口」(サイ)をしっかり守ることがとても大切なことでした。

「五」

 小さな鉞(まさかり)である「士」を「サイ」の上にのせて守っているのが「吉(きち)」という字ですし、身を守る「干」(たて)の省略形「十」を加えて守るのが「古」であることを紹介(しょうかい)してきました。

 この「サイ」を守るものはほかにもあります。「吾(ご)」の上の字形「五」もその一つ。「五」は古代文字が分かりやすいですが、木を斜(なな)めに交差させた蓋(ふた)の形です。この交差した木の蓋で「口」を守るのが、「吾」です。

 ですから「吾」のもともとの意味は「まもる」ことでした。それが仮借の用法で「われ」の意味になりました。仮借とは文字の音だけを借りて本来の意味とは違(ちが)う意味に使う漢字の用法。「五」を数字の「五つ」の意味に使うのも仮借です。

 「語」は「言」に「吾」を加えた字です。まず「言」から紹介しますと、この「言」は今の字形では分かりにくいですが、「辛(しん)」と「口」を合わせた形です。「辛」は入れ墨(ずみ)用の針。「口」は神への祈りを入れる「サイ」です。その「サイ」の上に「辛」を置いて神に誓(ちか)う文字が「言」です。

 自分の誓いの言葉が信ずるにあたらない場合は入れ墨の刑に服しますから、祈りをかなえるように、強く神に迫(せま)る攻撃(こうげき)的な言葉が「言」です。

 これに対して「言」に、守る意味のある「吾」を加えたのが「語」。意味は「かたる」ことですが、白川静さんの研究によると、「言」が攻撃的な 言葉であるのに対して、反対に「語」には自分を守る防御(ぼうぎょ)的な言葉のはたらきがあるそうです。

 「悟(ご)」にも「吾」が含まれています。この「悟」は「心」と「吾」を合わせた字ですが、これは心の爽(さわ)やかさや明るさを守る意味の文字で、そこから「さとる」の意味となりました。(共同通信編集委員 小山鉄郎)

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