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なるほど漢字物語

文化勲章を受けた漢字学者の白川静さん(故人)の研究を基にして、漢字の体系的な仕組みを楽しく伝える企画です。

(86)「楽」 柄のある手鈴 

2010.3.15 11:51
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 「令」は前回も紹介(しょうかい)しましたが、神様の前で深い帽子(ぼうし)を被(かぶ)り、ひざまずいて神のお告げを受ける人の姿です。今回もまずこの「令」に関連した字の紹介ですが、最初は「鈴(すず)」です。現在でも呼び鈴(りん)という言葉がありますが、この「鈴」は神を呼んだり、神を送ったりする際の楽器でした。

「楽」

 また「鈴」には、その音で悪い霊(れい)を祓(はら)う力があると考えられていて、旗や車、また馬などにつけられました。

 「伶楽舎(れいがくしゃ)」という雅楽(ががく)の演奏グループが現在あります。日本芸術院会員の芝祐靖(しば・すけやす)さんを音楽監督(かんとく)にして、国内外で広く活躍(かつやく)している人たちです。

 その「伶楽舎」の「伶」にも「令」がふくまれていますが、この「伶」は舞楽(ぶがく)で神に仕える楽人のことを表す字です。

 また「伶楽舎」の名にもある、「楽」は音楽に関係し、鈴にも関係した字です。この「楽」は柄(え)のある手鈴の形です。

 「楽」の旧字「樂」は二つの「幺(よう)」と「白」と「木」でできていますが、このうちの「木」が柄の部分を表していて、その柄に「幺」(糸)がついています。そして「白」の部分が「鈴」だとも考えられています。

 でもイラスト欄(らん)に挙げた古代文字の「楽」を見てください。現在の字形の「白」に当たる部分がないですね。肝心(かんじん)の「鈴」の部分を字形にかかないで、「鈴」を意味することは考えにくいです。

 「伶楽舎」のメンバーで雅楽の楽器・笙(しょう)の世界的演奏者である宮田まゆみさんは、「楽」(樂)の鈴はもともとは「幺」の部分についていて、後になって鈴を表す「白」の字形が加えられたのだろうと考えています。宮田さんは白川静さんの文字学にも詳(くわ)しい人で、楽人・伶人でもありますから説得力がありますね。

 古代中国の巫女(みこ)さんはこの柄のある手鈴「楽」を鳴らして、神様を呼び、楽しませたのです。またこの「楽」を鳴らして、病気の人の病魔(びょうま)を祓いました。(共同通信編集委員 小山鉄郎)

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