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なるほど漢字物語

文化勲章を受けた漢字学者の白川静さん(故人)の研究を基にして、漢字の体系的な仕組みを楽しく伝える企画です。

(87)「音」 神様のお告げ

2010.3.23 11:14
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 「音楽」の「楽」は柄(え)のある手鈴(てすず)であることを前回、説明しました。舞楽(ぶがく)の際、巫女(みこ)がこれをふって神を楽しませたのが「楽」です。ならば「音楽」の「音」はどんな字でしょうか。今回はそのことを紹介(しょうかい)しましょう。

「音」

 でも「音」の字の前に「言」の説明をしたいと思います。まず「言」と「音」の古代文字を見てください。非常によく似ていますね。そのことを知ってから、以下のことを読んでください。

 この「言」は神様への祈(いの)りの祝詞(のりと)を入れる器「口」(サイ)の上に、入れ墨(ずみ)用の針「辛(しん)」を置いて、もし自分の言葉に偽(いつわ)りがあれば入れ墨の刑(けい)を受けることを神に誓(ちか)い祈る言葉を意味します。古代文字の「口」(サイ)の上にある部分が、「辛」(針)の部分です。

 その祈りに神様が反応して、答えます。神様の答えはどんな形でくるかというと、夜、静かな時間に器「口」(サイ)の中でかすかな音を立てるのです。その神の答えの音が「口」の中にある横線の「一」です。それが「音」という字です。

 古代文字のほうがよくわかるかもしれませんが、「言」の「口」(サイ)の部分に「一」を加えた字が「音」なのです。つまり「音」とは神様のお告げのことです。

 この「音」の字形をふくむ字に「闇(やみ)」があります。この「門」の字形は神棚(かみだな)の両開きの扉(とびら)のこと。そこに神様への祈りの祝詞を入れる器「口」(サイ)を置き、その上に誓いの針「辛」を置いて、祈ると神が夜にかすかな音で答えるのです。

 その時は夜で、暗闇の中で神様の意思は示されました。それを表す字が「闇」で、その時間は暗いので「やみ」「くらい」の意味となりました。

 「暗」にも「音」の字形がありますが、これはもともとは「闇」と同じ字でした。本来は神のあらわれる「闇」を表す字が、明暗の対比などを言う字に使われ出して「日」を加えた「暗」の字ができたのです。(共同通信編集委員 小山鉄郎)

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