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文化

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なるほど漢字物語

文化勲章を受けた漢字学者の白川静さん(故人)の研究を基にして、漢字の体系的な仕組みを楽しく伝える企画です。

(95)「白」 白骨化した頭蓋骨

2010.5.24 10:29

 今年は漢字学者・白川静さんの生誕100年です。その白川静さんの名にある「白」について、今回は紹介(しょうかい)しましょう。

「白」

 この「白」は少し怖(こわ)い字です。「白骨化した頭蓋(ずがい)骨」の形なのです。白骨化しているので「しろい」意味となりました。

 「伯(はく)」という字の「白」も白骨化した頭蓋骨です。古代中国では討ち取った敵の首長の頭部を白骨化させて保存していました。すぐれた首長の頭蓋骨には強い霊力(れいりょく)があると考えられていたので「かしら」の意味となり、「白」に「人」を加えた「伯」ができたのです。

 また「伯」に「あに」の意味もありますが、これは中国の周の時代に兄弟を伯、仲、叔(しゅく)、季の順に呼んだことからです。「実力伯仲」の「伯仲」とは長兄と次兄の力があまり違(ちが)わないことです。

 また「激」の字にも「白」があります。でも「激」の前に「きょう」の字を紹介したいと思います。学校で学ぶ字ではないので理解するだけでいいですが、これは「放」に「白」を加えた字です。

 「放」は何回か紹介しましたが、木につるした死者を木の枝で打ち、死者の霊を刺激(しげき)し、強くなった霊力で外からの悪霊(あくりょう)の追放を求める字です。

 その「放」に「白」を加えた「きょう」は、木の枝で打つ死者に白骨化した頭蓋骨が加わった字。白骨化した頭蓋骨を打って刺激を与(あた)え、強化された霊力で悪霊の追放を求める字で、「もとめる」の意味になりました。

 この「きょう」には刺激して激しくなる意味がふくまれていますが、その激しさを「水」の様子に移して、水が激しく流れる意味の字が「激」です。後にすべての「はげしい」意味になったのです。

 「檄文(げきぶん)」「檄を飛ばす」などに使う「檄」にも「きょう」があります。「木」は木札に文字を記した木簡のこと。それに「木」を加えた「檄」は白骨化した頭蓋骨によってではなく、文章で人に刺激を与えることです。そこから「ふれぶみ」の意味になりました。(共同通信編集委員 小山鉄郎)

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