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文化

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なるほど漢字物語

文化勲章を受けた漢字学者の白川静さん(故人)の研究を基にして、漢字の体系的な仕組みを楽しく伝える企画です。

(97)「陽」 下方に放射する玉の光

2010.6.7 12:07

 「云(うん)」が「雲」の元の字形であることを前回説明しました。この「云」の字形が「陰(いん)」の中にもふくまれているのが分かりますか。今回はその「陰」と「陽」という字について紹介(しょうかい)しましょう。

「陽」

 この「陰」「陽」の両字に共通する「コザト」は神様が天から降りてくる梯子(はしご)(または階段)です。「陽」の「昜(よう)」の部分の上部の「日」は霊力(れいりょく)をもつ玉のこと。その下の部分はそれをのせる台と玉の光が下方に放射する形です。この光の輝(かがや)く玉を神が降りてくる場所の前に置き、神の威光(いこう)を示している字が「陽」です。

 物に感じたり、何かの行為によって自分の生きる力を盛んにすることを「魂振(たまふ)り」と言います。「陽」の玉の光にも魂振りの力がありました。

 「陽」は後に「ひ、太陽」の意味となり、太陽の光の及(およ)ぶところから、「あたたかい」などの意味も生まれたのです。

 これに対して、「陰」は逆にその光をとざして神気をとじこめる字形です。「」の部分は「云」の上に「今」をのせた形。「云」は「雲」の元の字ですし、「今」は何かにふたをする形です。つまり「」は雲のような気にふたをし、気をおおい閉じこめる形です。

 「陰」の場合は「陽」の玉の光をとざし、神気をとじこめる字です。それゆえに「とざす、おおう、かげ、くもる」などの意味があります。

 中国の思想では「陰」と「陽」は相反する性質をもった二つの気としてペアになっている考え。中国ではこの陰陽で万物のことを考えます。例えば日・春・南・昼・男が「陽」、これに対して月・秋・北・夜・女が「陰」とする考え方です。

 この考え方は日本にも伝わり、陰陽道となりましたが、この場合は「おんよう」または「おんみょう」と読みます。

 「陰」に「草カンムリ」を加えた「蔭(いん)」は、草が生い茂って、日かげをつくっていることですので「かげ、おおう」という意味があります。(共同通信編集委員 小山鉄郎)

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