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なるほど漢字物語

文化勲章を受けた漢字学者の白川静さん(故人)の研究を基にして、漢字の体系的な仕組みを楽しく伝える企画です。

(102)「事」 国家的な大きな祭り

2010.7.12 11:59
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 今回も白川静さんの文字学の最大の発見という「口」(サイ)についての紹介(しょうかい)です。ふつう「くち」のことを示すと思われていた「口」の字形を、神様への祈(いの)りの祝詞(のりと)を入れる器「口」(サイ)のことであると白川静さんは考えました。

「事」

 すると「口」をふくむいろいろな文字の意味が分かってくるのですが、今回は一見すると「口」(サイ)の字形には見えない文字の紹介です。

 まず「史」です。古代文字が分かりやすいですが、この「史」の場合は木にかけた「口」(サイ)です。その木にかけた「口」(サイ)を右手に高く捧(ささ)げて持ち、先祖を祭る字が「史」です。

 この「史」は最初は先祖の祭りの意味や祭りをする人の意味でした。そこから祭りの記録を意味するようになりました。

 「史」をふくむ熟語では「歴史」が一番ポピュラーですが、この「歴史」の「史」は祭りの記録の意味の「史」です。

 この「史」は先祖を祭る廟(みたまや)の中での祭りのことですが、地方に出かけて山河などで祭りをする際には上部が枝分かれした木に吹(ふ)き流しをつけ、それに「口」(サイ)をつけて出かけました。

 この外での祭りの使者が「使」ですし、その祭りをする人が「吏(り)」です。「使」や「吏」は「史」の字形の上に「一」が加えられていますね。この「一」の部分が枝分かれした木、または吹き流しの部分です。

 外祭をする人である「吏」は、そこから意味が発展して役人のこととなりました。

 「事」も古代文字を見れば、吹き流しがついた木の枝を持つ形であることがはっきり分かります。その枝にかけた「口」(サイ)を、手で持っている字形が「事」です。

 「事」の場合は国家的な大きな祭りのことなので、この祭りのことを「大事」「国事」と言います。このように「史」「吏」「使」「事」は一つのつながりの中にある漢字です。(共同通信編集委員 小山鉄郎)

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