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なるほど漢字物語

文化勲章を受けた漢字学者の白川静さん(故人)の研究を基にして、漢字の体系的な仕組みを楽しく伝える企画です。

(114)「減」 水をかけ祈りの効果減らす

2010.10.4 10:22
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 神への祈(いの)りの言葉を入れる器「口」(サイ)に「まさかり」の形である「戉(えつ)」を加えたのが「咸(かん)」という字です。そのことを前回紹介(しょうかい)しました。神への儀式(ぎしき)が終わり、大切な「口」に「戉」を加えて封をとじることを表した字。封(ふう)をとじ、完了(かんりょう)するので「おわる」「ことごとく」の意味です。

「減」

 その「咸」をふくむ字で日常よく使うのが「減」です。これは「咸」に「水」をかけている文字。祈りの効果を守るために封をしていた「咸」に「水」をかけ、祈りの効果を減らし無くしてしまう字が「減」。「へらす」意味はそこからです。

 このように大切な「口」(サイ)に「水」をかけて、祈りの効果を無くしてしまう文字はほかにもあります。例えば「沓(とう)」という字がそうです。

 「沓」の下の「曰(えつ)」は神様への祈りの言葉を入れる「口」の中に「一」を加えた文字です。この「一」は祈りに対する神のお告げのしるしです。

つまり「曰」の「いわく」「いう」の意味は神意を告げることでした。

 神のお告げの入った器に繰(く)り返し水をかけて、祈りの効果をなくす行為(こうい)が「沓」の字で、その意味は「けがす」のほかに「かさなる」「むさぼる」というものです。

 そして、この「沓」に「足」を加えた文字が「踏(とう)」です。祈りの効果を無くすような意味をこめて足で踏(ふ)み汚(けが)すこと、踏みつけることから「ふむ」意味になりました。

 「踏」の古代文字や異体字を見ると、右側の字形は「曰」の下に「羽」を加えた形です。白川静さんによると、この部分は「習」の字を上下逆転させた形だそうです。

 「習」は「曰」を「羽」ですって、祈りの効果を刺激(しげき)する字。その行為を繰り返すことが「習」です。一定の行為を習(かさ)ねるので「習慣」「学習」の意味も生まれました。

 「踏」の古代文字の右側の字形は、この「習」の逆の字形で、「沓」と同様に「祈りの効果を無くす行為」を表しているのだそうです。(共同通信編集委員 小山鉄郎)

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