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文化

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なるほど漢字物語

文化勲章を受けた漢字学者の白川静さん(故人)の研究を基にして、漢字の体系的な仕組みを楽しく伝える企画です。

(131)「長」 長髪の人を横から見た姿

2011.1.31 11:07

 会社のトップは社長。学校は校長。市役所は市長というように、組織のトップの人の呼び方に「長」の字が付いています。一番上の人になぜ「長」が付いているのか、今回はその紹介(しょうかい)です。

「長」

 この「長」の上部は長い髪(かみ)の形で、下部は人を横から見た形です。つまり「長」は長髪(ちょうはつ)の人を横から見た姿です。そうやって「長」の字をながめてみると、目の前に長髪の人が立っているように見えてくると思います。

 長髪は古代中国では長老に許されたものでした。その部族を代表する者のことから「かしら」の意味も生まれたのです。社長、校長、市長などの呼び方はそこからです。

 さらに「長」は長髪のことから「ながい」意味となり、「おおきい」の意味にもなりました。

 その「長」に「弓」を加えた「張」は弓を張り広げることです。後に弓ばかりでなく、すべてのものを「はる、ひろげる」意味になりました。

 ものがふくらむことを膨張(ぼうちょう)と言い、膨脹(ぼうちょう)とも書きます。この「脹」の「月」は「肉づき」のことで、「脹」とは腹が「ふくれる」ことです。後にすべてのものが「ふくれる」意味になりました。

 「手帳」の「帳」にも「長」がふくまれています。「巾(きん)」は布切れのことです。「帳」は室内に垂れ下げて仕切りにしたり、光をさえぎったりするための布である「とばり」や垂れ幕です。このとばりや垂れ幕を張り広げるのが「帳」です。

 ふだんは非公開の仏像を公開することを「開帳」と言いますが、これは非公開の仏像を安置している戸棚である厨子(ずし)のとばりを開いて一般(いっぱん)の人に公開することです。蚊(か)の侵入(しんにゅう)を防ぐ「蚊帳(かや)」もとばりの意味の「帳」です。

 また紙をとじ合わせたノートの意味もあって「手帳」「帳面」は、その意味の「帳」です。

 水がわきおこりみなぎることを「漲(みなぎ)る」と書きますが、この「漲(ちょう)」の「長」も「長大なもの」の意味です。(共同通信編集委員 小山鉄郎)

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