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なるほど漢字物語

文化勲章を受けた漢字学者の白川静さん(故人)の研究を基にして、漢字の体系的な仕組みを楽しく伝える企画です。

(132)「孝」 子どもが老人によく仕える

2011.2.7 11:44
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 「長」という字が「長髪(ちょうはつ)」の人、「長老」の人の長い髪(かみ)の毛のことであることを前回紹介しました。今回は「長老」の「老」などの文字について紹介(しょうかい)したいと思います。

「孝」

 この「老」もまた「長髪」に関係した字なのです。「老」の「匕(か)」以外の上の部分は長髪の人を横から見た形で、長髪の垂れている姿です。

 「匕」は「真」の旧字「眞」の上部にある形と同じで、人が転倒(てんとう)した姿で死者のことです。この場合は「死に近いこと」を表しています。つまり「老」とは、長髪の年老いた人の意味です。

 この「老」に似た字に「考」と「孝」があります。漢字を学び始めたころは、この「考」と「孝」がよく似ているので実にまぎらわしいものです。なにしろ音読みも「コウ」で同じですから。その「考」「孝」はどんな成り立ちの文字なのか。それを説明しましょう。

 でも混同も仕方がないほど、「考」「孝」はもともと近い字だったようです。「考」は亡くなった父親のこと。だから「かんがえる」のほかに「ちち」の意味もあります。ちなみに亡くなった母親は「妣(ひ)」と言います。非常に落胆することを「考妣(こうひ)を喪(うしな)うが如(ごと)し」という言い方があります。

 そして「かんがえる」の「考」は学舎(まなびや)の意味の「校」と音が同じために生まれた意味なのだそうです。

 そして「孝行」の「孝」は、長髪の老人に「子」を加えた形で「子どもが老人によく仕える」意味です。つまり「おやおもい」の意味なのです。

 もう一つ「老」に関係した文字を紹介しましょう。あの人も「もうろくした」などと言います。この「耄碌(もうろく)」は年をとり、老いぼれることです。

 「老」と「毛」を合わせた「耄」は、老いた人の乱れた髪のことを表していると白川静さんは考えていました。「耄」の古代文字は「蒿(こう)」と「老」を合わせた形です。「蒿」は白いヨモギのことで、老人の白髪を意味しています。(共同通信編集委員 小山鉄郎)

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