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文化

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なるほど漢字物語

文化勲章を受けた漢字学者の白川静さん(故人)の研究を基にして、漢字の体系的な仕組みを楽しく伝える企画です。

(134)「補」 衣服のほつれを補修する

2011.2.21 10:02

 「専」「博」のうち、右上に点のない「専」に関係した字を前回紹介(しょうかい)しました。少し復習すると「専」の字は袋(ふくろ)の中に入れた物を手(寸)でうって丸い形にしたものことです。袋の中の物をひたすらうち固めるので「専」が「もっぱら」の意味となったのです。

「補」

 さて今回と次回で「博」の成り立ちについて紹介したいと思います。

 「博」に関係する漢字の最初は「甫(ほ)」という字の説明からです。この「甫」は苗木の根のところを包んでいる形です。根を包んで植樹をしている文字。そこから「なえぎ」「はたけ」「はじめ」の意味となりました。

 この「甫」をふくむ字はたくさんあります。そこで今回は「甫」をふくむ漢字のうち、よく知られている文字について説明してしまいましょう。

 この「甫」は田圃(たんぼ)の「圃(ほ)」の元の字でもあります。「圃」は草木を植える所で、そこから「はたけ」の意味となりました。

 苗木(なえぎ)が倒(たお)れないように包み助けるので「甫」をふくむ字には「中にものを包みこむ」や「たすける」の意味があります。

 この意味の文字はまず「補」がそうです。衣服のほつれを包みこむようにして補修する意味で、そこから衣服の補修だけでなく、すべて「おぎなう」「つくろう」「たすける」となりました。

 「輔(ほ)」も「たすける」意味の「甫」です。これは「車」に添(そ)え木をつけて、車の動きを「たすける」のが「輔」です。

 また「浦」は、「甫」が苗木の根を包みこむ形のことから、丸く入りこんだような入り江(え)を表す字となりました。

 さらに「逮捕(たいほ)」の「捕」にも「甫」がありますね。根を包みこんだ苗木で、中に包みこむのが「甫」。そこから捕縛(ほばく)する(捕らえてしばる)ことを「捕」と言います。

 「博」については次回に説明したいと思いますが、「捕縛」の「縛」と「博」の右の字形が同じ形であることを覚えておいてください。(共同通信編集委員 小山鉄郎)

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