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なるほど漢字物語

文化勲章を受けた漢字学者の白川静さん(故人)の研究を基にして、漢字の体系的な仕組みを楽しく伝える企画です。

(155)「朝」 草間に日が出て月が残る時 

2011.8.4 14:29
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 同じ王様の家に属する王の系列を「王朝」と言い、王が政治を行う所を「朝廷(ちょうてい)」と言います。これらの言葉に、なぜ「朝」があるのでしょう。今回はこの「朝」の紹介(しょうかい)から始めたいと思います。

「朝」

 「朝」は「艸(そう)」「日」「月」を合わせた字です。「艸」は草のこと。今の「朝」でいうと、「日」の上下に書き分けてある「+」が「艸」です。

 草の間に「日」(太陽)が出ているけれど、まだ空に「月」が残っている形で「朝明けの時」のこと。そこから「あさ」の意味となりました。

 古代中国の殷(いん)王朝では日の出を迎(むか)えて朝日(ちょうじつ)の礼を行い、政治上の大事を決定しました。その朝のまつりごとを「朝政」と言い、「朝」は「まつりごと」の意味になりました。そして王が政務を行う所を「朝廷」と言うようになったのです。

 「朝」は夜明けのことですが、昨年の常用漢字改定で、夜明けに関する字が幾(いく)つか常用漢字に加わりましたので、それも紹介しておきましょう。

 一つは「曖昧(あいまい)」の「昧」です。「未」は木の枝葉の茂(しげ)りゆく形。「いまだ」の意味は、字の音を借りて別な意味を表す仮借(かしゃ)という用法です。「昧」の「未」も「いまだ」の意味。「いまだ」に「日」が出ないというのが「昧」で「よあけ」「くらい」の意味です。

 さらに、これも新しく常用漢字に加わった字ですが、「元旦(がんたん)」の「旦」も日の出の意味です。

 今の字形「旦」の「一」は地平線です。これは地平線の上に「日」(太陽)が出てくる形。でも古代文字では「一」の部分が雲の形をしています。元の字は雲から顔を出した日の出の形でした。

 最後は「朝」に関係した「潮」についてです。「朝」の古代文字には「月」の部分を「水」の形に書くものがありました。「潮」の古代文字にも「月」に相当する部分がありません。つまり「潮」は朝の潮の満ち引きを表す字なのです。そこから「しお、うしお」になりました。(共同通信編集委員 小山鉄郎)

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