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なるほど漢字物語

文化勲章を受けた漢字学者の白川静さん(故人)の研究を基にして、漢字の体系的な仕組みを楽しく伝える企画です。

(168)「図」 穀物倉庫がある農園の地図 

2011.11.3 15:51
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 文字や絵をかく「書」や「画」という字について説明してきました。でも小学生には「書画」より、「図画」という言葉のほうがなじみ深いと思います。今回はその「図」についての紹介(しょうかい)です。

「図」

 この「図」は旧字「圖」でないとわかりません。「圖」は「ひ(ひ)」を「囗(い)」で囲った形。天性(てんせい)の質(しつ)、才能(さいのう)を天稟(てんぴん)と言いますが、この「稟(ひん)」の上部と同じ形が「ひ」の下部にあるのがわかりますか。

 その字形は穀物(こくもつ)倉庫のことです。「ひ」の穀物倉庫の上の「囗」は地域(ちいき)を表しています。つまり「ひ」は穀物倉庫がある地域のことです。

 さらにそれを全体の範囲(はんい)を表す「囗」で囲ったのが「図」の旧字「圖」で、「圖」は穀物倉庫の所在(しょざい)地を記入した農園の「地図」のことです。

 「ひ」をふくむ字を一つ紹介すると「都鄙(とひ)」の「鄙」です。「都鄙」とは「都と田舎(いなか)」のこと。

 この「都」の「者」は土の垣根(かきね)に囲われた集落のことです。「おおざと(おおざと)」は「邑(ゆう)」と同じで、囲いの中に人がいる「まち」や「むら」のこと。つまり「都」は外が囲まれた大集落、みやこの意味です。

 その「都」の周辺にある農地が「鄙」です。この「ひ」は穀物倉庫のある地域。「コザト(コザト)」は「まち」や「むら」の意味。ですから「鄙」とは地域内に穀物倉庫がある農耕(のうこう)地のことで、「いなか」の意味となったのです。

 「天稟」の「稟」も説明しておきましょう。「稟」の上は穀物倉庫。下の「禾(か)」は穀物のことです。この「稟」の元の意味は王様から、祭りのための給料としてさずかった穀物のことです。王様・天子からたまわったものなので、天からたまわった才能や性質「天稟」の意味があるのです。

 「圖」や「鄙」「稟」は少し難(むずか)しいので、穀物倉庫関係の字であるのを理解(りかい)すれば十分です。でも田舎のことを「ひなびた」所と言いますが、漢字で記せば「鄙びた」です。天稟もいつか使う言葉です。覚えておくといいですよ。(共同通信編集委員 小山鉄郎)

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