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文化

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なるほど漢字物語

文化勲章を受けた漢字学者の白川静さん(故人)の研究を基にして、漢字の体系的な仕組みを楽しく伝える企画です。

(231)「果」 木の上に果実のある様子

2013.2.21 15:45

 「オリンピックは勝利することより、むしろ参加することに 意義 (いぎ) がある」との言葉は有名です。これは第4回ロンドン五輪(1908年)の 際 (さい) 、 陸上競技 (りくじょうきょうぎ) で米国と英国の対立が起こった時に発せられた言葉を、当時のIOC会長クーベルタンが 紹介 (しょうかい) して広まりました。

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 クーベルタンは、結果ではなく、 過程 (かてい) が大切だと言っているのですが、でも今年のロンドン五輪の男子 柔道 (じゅうどう) の選手たちを見ていると、結果を求められることが、いかに 重圧 (じゅうあつ) だったが分かります。

 しかし柔道で 唯一 (ゆいいつ) の金メダルをとった松本薫 (かおり) 選手が試合直後に「パフェを食べたい」と話していたのは面白かったですね。「お菓子 (かし) やアイスクリームを食べ 過 (す) ぎて骨折 (こっせつ) していた」ので甘いものをひかえるのがつらかったようです。あの闘志 (とうし) あふれる 鋭 (するど) い目つきとの落差がまた楽しかったです。

 いやいや、オリンピックの話ではなく、漢字の話です。「結果」の「果」と「お菓子」の「菓」の文字の関係を今回は紹介したいと思います。

 「果」は木の上に果実がある様子をそのまま文字にしたものです。「田」の部分が古代文字を見ると、田んぼの区画ではなく、果実の形です。「 果物 (くだもの) 」が第一番目の意味ですが、花から実が結実するので「はたす、結果」の意味となったのです。

 丸くつやのあるもの、外皮のないもの、内に生命力をふくむものの意味も「果」にあります。

 「菓」のもともとの文字が、この「果」でした。草かんむりですが、昔の菓子は木に成る果物を 砂糖漬 (さとうづ) けなどにして、加工したものでした。

 小さな粒状 (つぶじょう) のものを「 顆粒 (かりゅう) 」と言います。「果」には丸いものの意味があって、「顆」は「つぶ」の意味です。

 ものの多いことを「 夥多 (かた) 」と言います。「果」にはつぶらなものの意味があり、それが 密集 (みっしゅう) している 状態 (じょうたい) が「夥」で、「多い、 夥 (おびただ) しい」という意味です。(共同通信編集委員 小山鉄郎)

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