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文化

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なるほど漢字物語

文化勲章を受けた漢字学者の白川静さん(故人)の研究を基にして、漢字の体系的な仕組みを楽しく伝える企画です。

(238)「費」 財産を散じなくす

2013.4.18 13:27

 社会保障(ほしょう)と税(ぜい)の一体 改革(かいかく)関連法が成立し、予定通りなら、消費税が2014年4月に8%、15年10月に10%へと2 段階 (だんかい) で引き上げられることになりました。その「消費税」の「費」の文字の中に貨幣の意味を表す「貝」の字形がありますね。

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 「費」は「ついやす」意味ですが、この「費」の説明の前に「貝」の上にある「 弗 (ふつ) 」について 紹介 (しょうかい) したいと思います。

 「弗」は 縦 (たて) にした木を2、3本束ねて 縄 (なわ) で 巻 (ま) きつけた形の字です。曲がった木を束ねるのですが、曲がった木を束ねるのは 難 (むずか) しく、ばらばらになってしまいます。ゆがむ・ねじれるという「もとる」の意味があります。

 ゆがんだ木を払(はら)うので「はらう」意味もあります。また 否定(ひてい)的な意味に使うことも多くあらず」の意味もあります。

 この「弗」は「払(ふつ)」の元の文字で、さらに日本では米国の貨幣(かへい)のドルの意味にも使います。

 「払」の旧字(きゅうじ)は「拂」ですが、曲がった木を束ねようとしたが、できずにばらばらとなってしまったものを「手」( テヘン(てへん))で「はらう、のぞく」意味の文字です。

 湯が「 沸(わ)く」の「沸(ふつ)」の「弗」も似(に)たような意味です。曲がった木を束ねられずにばらばらになるのが「弗」ですが、「水」( サンズイ(さんずい))が熱せられて、わきあがり煮え立つことを「沸」と言うのです。

 さて「消費税」の「費」です。下の「貝」は貨幣、お金の代わりにもなった貴重(きちょう)な貝である子安貝のことです。それに「弗」を加えた「費」は 財産(ざいさん)を散じ、なくすことです。「むだに消費することをいう語」であろうと、白川静さんは字書の「 字統(じとう)」に記しています。

 古代文字の中では「弗」を「あらず」などの否定の言葉に使っているので、「費」も元は「否定的な意味をもつ語である」と白川静さんは記しています。そういえば「使ってなくす」意味の「消費」という言葉には、 確(たし)かに少し否定的な意味がふくまれているようにも感じますね。(共同通信編集委員 小山鉄郎)

【編注】今回テーマの漢字「費」は小学4年生で学ぶ漢字です

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