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文化

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なるほど漢字物語

文化勲章を受けた漢字学者の白川静さん(故人)の研究を基にして、漢字の体系的な仕組みを楽しく伝える企画です。

(239)「売」 集めた貝を出す

2013.4.18 13:31

 世界の名画などがオークション(競売)に出品されて、何十億円もで売買されたという話が新聞に 載(の)ったりしますね。

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 オークションとは、出品者が決めた 価格(かかく)に対して購入(こうにゅう)したい 金額(きんがく)を入札し、他の人と競い合って、最終的に一番高い金額を入札した人が、商品を購入する権利(けんり)を手に入れるシステムです。最近は簡単(かんたん)に楽しめるネットオークションというものもありますね。

 さて、その「売買」という漢字も、 貨幣(かへい)代わりに使われた「貝」に関係した文字です。「買」のほうから 紹介(しょうかい)すると、上の「ヨコメ 」は元は「 网(もう)」の字形で 網(あみ)のことです。つまり多くの貝を買い集めてためていることを「買」と言い、そこから「かう」意味になりました。

 「売」のほうも 旧字(きゅうじ)「賣」を見れば「貝」に関係した文字であることがよく分かります。その「賣」は最初の字形では「買」の上に「出」を加えた文字です。

 まず「出費」などの言葉に使う「出」について説明しましょう。

 これは足に関係した字です。漢字では 足跡(あしあと)の形を表している「止」という字形が、足に関係した字の基本(きほん)です。「出」は古代文字のほうが分かりやすいですが、その「止」の下に、足のかかとを表す曲線を加えた形です。「止」と「かかと」を合わせて出発することを示しているので「出る」意味なのです。

 そこで「賣」の古代文字を見てください。「買」の上に「出」の字形が加わっていますね。つまり集めた貝を「出す」ことで、そこから「うる」意味になりました。

 「賣」(売)に関係する字を一つだけ紹介しますと、「 贖罪(しょくざい)」の「贖」がそうです。「贖罪」とは 体罰 (たいばつ) の 刑(けい)に服する代わりに、財物(ざいぶつ)を差し出し、 賠償(ばいしょう)することで 罪(つみ)を 許(ゆる)されることです。「賣(売)」にさらに「貝」を加えた「贖」が、財で「罪をあがなう」意味となりました。(共同通信編集委員 小山鉄郎)

【編注】今回テーマの漢字「売」は小学2年生で学ぶ漢字です。「買」は小学2年生で学ぶ漢字、「出」は小学1年生で学ぶ漢字です

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