メニュー 閉じる メニュー
文化

文化

なるほど漢字物語

文化勲章を受けた漢字学者の白川静さん(故人)の研究を基にして、漢字の体系的な仕組みを楽しく伝える企画です。

(241)「測」 水をはかること

2013.5.2 10:01

 漢字には「貝」を字形にふくんだものがたくさんあります。その「貝」をふくんだ字には二通りの 系統(けいとう)があって、その一つはお金代わりに使われた子安貝のことで、 貨幣(かへい)・財産(ざいさん)関係の文字です。

241.JPG

 もう一つは、 煮炊(にた)き用やお祭りの際(さい)に使われた 青銅(せいどう)器「鼎 (かなえ)」のことです。その「鼎(てい)」に関係した文字も多くあります。

 「規則(きそく)」「原則」などに使われる「則」もその一つです。 現在(げんざい)の字形は「貝」に「 リットウ(りっとう)」(刀)を加えた字ですが、元の字は「鼎」に「リットウ」を加えた文字でした。つまり「則」の「貝」は「鼎」の 省略(しょうりゃく)形で、その「鼎」の側面に「刀」(リットウ)を加える文字です。

 「鼎」(貝)に文章を「刀」で 刻(きざ)むことを表している文字が「則」です。重要な契約 (けいやく)事項(じこう)は「鼎」に記録して、 保存(ほぞん)したのです。「則」は円形の鼎に刻んだ約束ごとです。

 鼎に刻まれた約束ごとは、そのまま守るべき「規則」とされたので「則」は「のり、おきて」の意味となったのです。

 その約束の文字を刻む所、円形の鼎の側面(左右の面)の意味を「人」のことに 及 (およ)ぼして、人の「かたわら、そば、わき」を意味する字としてできたのが「側」です。

 「側」の文字は「片側(かたがわ)」(両面のうちの一方のがわ、半面)のように「物の一方」の意味にも使います。

 円鼎に刻まれた契約は 従(したが)うべき規則でした。その規則に合っているかどうかを考えることを「はかる」と言います。

 そこから「則」に「 サンズイ(さんずい)」を加えて、「水」をはかることを表す「 測(そく)」という文字ができました。

 心から相手に 同情 (どうじょう) する気持ちを「 惻隠(そくいん)の情」と言います。「惻隠」の「惻」は相手の 側(かたわ)らに「心」を寄せて心情を推測(すいそく)し、あわれむことです。意味は「いたむ、かなしむ」です。

 「 廁(かわや)」(厠=異体字)は側らに並(なら)んで用を足す意味の文字。「 广(げん)」はこの場合、屋根のかかった家の意味です。(共同通信編集委員 小山鉄郎)

【編注】今回テーマの漢字「測」は小学5年生で学ぶ漢字です。「側」は小学4年生で学ぶ漢字、「則」は小学5年生で学ぶ漢字です

最新記事