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文化

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なるほど漢字物語

文化勲章を受けた漢字学者の白川静さん(故人)の研究を基にして、漢字の体系的な仕組みを楽しく伝える企画です。

(243)「具」 鼎に供え物入れてそろえる

2013.5.16 15:12

 漢字に非常 (ひじょう) に多い「貝」の字形をふくむ文字について何回か紹介 (しょうかい) してきました。「貝」の文字が多いのは、たいへん貴重 (きちょう)な子安貝が貨幣 (かへい) の代わりに使われたからです。さらに、重要な約束を刻(きざ)む「鼎(かなえ)」の省略(しょうりゃく)形も「貝」の字形だからです。

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 それら「貝」に関係した文字の最後の紹介です。これらはみな「鼎」に関係しています。まず「具」から。「具」は「貝」と「廾(きょう)」を合わせた形です。「廾」は左右の手を並(なら)べた文字。そして「貝」は「鼎(てい)」の形です。

 「鼎」は食物を煮(に)るための青銅(せいどう)器で、祭りの際(さい)の道具としても用いられました。「貝」と「廾」を合わせた「具」は両手で鼎をささげ持つ形です。宴会や祭りのときにささげ持って 具(そな)えられました。

 「具」は「鼎」に入れて供(そな)え物をそろえ用意するので「そなえる」の意味となり、すべてそろっているので「つぶさに」の意味となったのです。後に「具」は広く「器具」の意味となりました。

 その「器具」の意味からできた字が「算」です。これは「竹」と「具」を合わせた字。竹で作った算木(さんぎ)(計算器具)のことで、その器具を並べ数えることが「算」です。

 いろいろな材料を集めて手を加えて書籍(しょせき)をつくりあげることを「編纂(へんさん)」と言いますが、その「纂」は「算」と「糸」を合わせた形です。「算」には「数える」「そろえる」の意味があり、「纂」は色糸を集め 織(お)りなす意味で、そこから編集・編纂の意味となりました。

 最後に紹介したいのは「貞(てい)」です。これは「卜(ぼく)」と「貝」を合わせた文字。古代中国では亀(かめ)の甲羅(こうら)などをやいてできたひび割(わ)れの形で神様の意思を占(うらな)いました。「ト」はそのひび割れの形で「うらない」の意味です。

 「貝」は「鼎」です。「鼎」を使って占い、神意をうかがうのが「貞」。そこで神意が示(しめ)されるので「ただしい、まこと」の意味となりました。さらに「人」の動きをうかがうことを「偵(てい)」と言います。(共同通信編集委員 小山鉄郎)

【編注】今回テーマの「具」は小学校3年で学ぶ漢字です。「算」は小学校2年で学ぶ漢字です

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